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【MLB】田中らにも恩恵? ロースター枠26人案に米メディアも賛否両論。新たな労使協定妥結なるか

現在、MLB機構と選手会は新たな労使協定の締結に向けて交渉中だ。

2016/11/29

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ロースターを拡大した場合のデメリット

『ESPN』のジム・ボウデン記者は、ロースター枠拡大に関する選手会からの要望を下記のように報じている。

The union would like the major league clubs to agree to expand their active roster limits from 25 to 26 during the months of April through August, in exchange for the clubs getting a massive reduction in active roster-size limits for September, from a maximum of 40 to 28 or 30 in the new agreement, which will result in a reduction of call-ups for that final month of the regular season.
選手会はMLB機構に対して、4月~8月の間のアクティブ・ロースター枠を、25名から26名に拡大することを望んでいる。その代わりに、9月のロースター枠の拡大を現状の40人から28人、もしくは30人へ大幅に引き下げることを提案している。

 MLBの監督は、シーズン中の大半を25名という非常に限られた条件の中で選手のやり繰りを行う。特に投手陣にかかる負担は大きく、仮に26名に拡大された場合、同記者は、投手の補てんに利用する監督が多くなると予測している。

 もちろん先発投手を6人制にするケースも考えられる。

 周知のとおり、中6日が一般的であった日本人投手にとって、中4日という先発ローテーションは非常に苛酷だ。トミー・ジョン手術を経験したダルビッシュをはじめ、中4日のスケジュールに異論を唱える日本人投手は多い。仮に先発6人制を導入した場合、ヒジに不安を抱える田中にとっても朗報だろう。事実、田中は2016年シーズンの前半戦、中5日以上の登板のほうが、明らかに数字が良かった。

 一方で、ロースター枠拡大に関して、猛烈な反発を示す記者もいる。Sports Illustrated のトム・バーダッチ記者だ。同記者は、It will be the worst thing to happen to the sport since Astroturf and threaten to end the game’s period of record growth.(これは人工芝の導入以来、スポーツ史における最悪な事態であり、(様々な)記録更新を阻む事態を招く)と報じている。

 同記者は、ロースターが26名になることにより、投手を追加するチームが増え、投高打低の傾向が強くなると予測。試合がつまらなくなり、ファン離れが進むことを危惧している。
 また、救援投手が追加されれば投手交代が増え、試合時間の延長に繋がるとも指摘している。

 ベースボールを面白くするため、絶妙なバランスを保っている『25人』という枠を、崩すべきではないと報じているのだ。
 いずれにせよ、4年前に締結した労使協定は、あと数日で失効する。今から21年前の1994年、選手会が起こしたストライキにより、MLBの人気は急落し、危機的状況に陥った。
 その悪夢を繰り返さないためにも、双方が歩み寄り、より良い解決策を生み出してほしいところだ。

出典:Baseball’s 21-year run of labor peace could be in jeopardy By :Ken Rosenthal
Why expanding rosters to 26 players is a terrible idea for MLB By:Tom Verducci
Dialing rosters to 26 should force other MLB moves By:Jim Bowden

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