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【MLB】イチロー、3000本全ての安打の落下点が示す真実

グラウンドのどこにでもヒットを打つ驚異的打者、それがイチローの驚くべき才能とキャリアの偉大さを象徴している。

2016/08/09

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シフトが不可能な相手の守備

 MLBで放った3000本全ての飛んだ場所をチャートに落とすと、球場の至る所にボールを打ち返していることがわかる。

 特に驚くべきなのは、内野全体へばらまくかのように安打を放っている点にある。左打者の場合、もっぱら内野のオーバーシフトによってヒットを阻まれるケースも多いが、イチローがバッターボックスに立っている限り、相手の内野陣はそのようなシフトをかけるわけにはいかない。

 イチローの単打、二塁打の落下位置を見る限り、左右どちらにも平均的にボールが飛んでいるのが伺われる。これは極めて驚くべきことである。2002年以来(この年にFanGraphsが打球に関するデータ解析を始めたのであるが)のイチローの打球を調べるとさらによくわかる。

Ichiro has hit 31.3 percent of his batted balls to the pull side, 35.3 percent up the middle, and 33.4 percent to the opposite side. Let me know if you can suss out any predictable tendencies in those numbers.
イチローはその打球の31.3%を右(ライト寄り)へ、35.3%を中央へ、33.4%を左(レフト寄り)へ飛ばす。イチローの打球の傾向をこれらの数字から見出すことができればぜひ教えてほしい。

 パワーを要する打球になるにつれて、イチローもやはり流すより引っ張る傾向が強くなる。しかし敵チームの守備陣にしてみれば、いつそのような当たりが出るかわからないので、シフトをかけることはできず、ただ定位置から、打球がそこに飛んでくることをひたすら祈るしかないのである。

 ホームランに限って言うと、イチローは疑いなく引っ張って一打を狙う打者である。(しかしこれは、イチローが本当にホームランを狙ってバットをスイングする場合があれば、という仮定での話だが……)

 スプレーチャートの中にたったひとつだけ、ホームランを示すマークが左中間にある。イチローはたった一度だけではあるが、左中間にホームランを打っている。『Baseball Reference』のホームラン・ログを見ればわかるが、それは2002年6月29日の一打であった。そしてその時も相手はロッキーズ。投手はマイク・ハンプトンであった。

 イチロー、実に驚くべき打者である。

出典: “LOOK: Ichiro’s spray chart with all 3,000 of his MLB hits tells a wonderful story” @CBS Sports by Dayn Perry, August 8, 2016

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