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恩師と球友が証言するイチローの高校時代。鈴木一朗は「高校レベルの練習は中学で終えていた」

現地8月7日のロッキーズ戦でMLB通算3000本安打を達成したイチロー。高校時代をよく知る恩師・球友の話から、いかにプロという舞台を見据えて練習に取り組んできたかが見えてくる。

2016/08/08

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産経新聞社



特筆すべきは「三振しないこと」

 しかし、ひとたびバットを持たせると、モノの違いは一目瞭然。木製を扱うかのように金属バットを体にまきつけながら振りだし、抜群のミート力と好球必打の積極性。1年夏からベンチに入り、スタートしたイチローの高校生活に「驚きの連続だった」と振り返った中村は、その筆頭に「三振しないこと」を挙げた。
 
 練習試合も含め、3年間で613打席に立ったイチローが喫した三振はわずかに20。2年時のある日、試合時の打席を振り返り、日誌にこう書いてきたことを中村は覚えていた。
 
<難しい低めの球に手を出してしまったのに悔いが残ります。自分は次の球を打つと決めたらどんな球にも手をだしてしまう。そこでボールが来たら、1球待てる我慢をこれから覚えたいと思います>

 3年になり、イチローが喫した三振は練習試合も含めわずか3つ。本人ものちのあるインタビューで「(3年時に)空振りの三振は記憶にない。三振したのは自分がボールと思って見逃した球をストライクと判定された時」と語っていたほどだ。
 
 オリックス時代の97年には216打席連続無三振のNPB記録を樹立。記録が取りざたされる中、「空振りをしたい」というイチローのコメントが紹介されることがあった。これに「イチローらしい」と頷いたという中村は、「高校時代もね、ホントに空振りを見ることがないからそんな話をしたら『当たっちゃうんです』と涼しい顔で言っていましたから」と続けた。

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