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【レ軍番米国人記者の眼】田澤・上原への依存再び――スミス今季絶望も補強せず、2人は不運の被害者

現在、レッドソックスは首位だが大きな懸念材料ができた。それはリリーフ陣の一角のカーソン・スミスの離脱だ。この離脱によって再び上原・田澤の登板機会が増える可能性が出てきた。

2016/05/27

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球団は現時点で補強を否定しているが……

 ファレル監督は、次のように語っている。

「彼らは2人とも非常に優れた投手だ。試合後半に彼らを起用するのは至って簡単な采配だ。現時点では、彼らの登板回数は、リーグ最多とまではいかない。今後も、今ぐらいの頻度で投げてもらいたい。またスミスの件で投手陣が奮起し、先発投手も他のブルペン陣も頑張ってくれると信じている」

 スタッツで見れば、確かに田澤と上原は登板イニング数の上位に位置しているわけではないが、火曜の試合を終えて、田沢は47位、上原は54位。すでに危険な位置にいることに変わりない。

 上原に関しては、実際に失速の傾向が見られている。直球の球速は平均87マイル(時速140キロ)とスピードが落ち、自責点と与四球の数が上がる一方、奪三振数は減ってきている。

 実際に、ファレル監督は、まるで上原を41歳だとみなしていないような起用方法を続けている。回の途中で起用することも多く、デーゲームだろうが、ナイターだろうが、試合状況もお構いなしに、彼を呼び出している。

「正直に話そう。もちろん、イニングの中盤で上原を呼び出すのは好きではない。彼には回の最初から投げてもらいたい」とファレル監督は語る。「だが非常に率直に言えば、回の途中から投手と交代する場合や、デーゲームの中継ぎには、上原・田澤の2名を頼ってしまいがちなのだ」

 このコメントからは、ファレル監督がそれだけレッドソックスのブルペンが弱いのだと認めていると分かる。だから、限られた試合環境では、限られた投手に頼らざるを得ないというのが実情だろう。

 スミスは今シーズン3試合に登板したのみだった。それでも、彼の肩には大きな負担がかかってしまった。彼が開幕から1カ月離脱した時は、チームの大きな痛手にはならなかった。その頃は、誰もが、スミスは9月には復帰し、再び力強い投球を見せてくれると信じていたからだ。

 レッドソックスの先発ローテーションは、4月終盤には深みを待ち、5月には強さを見せはじめた。これにより、我々は、田澤と上原をここまで働かせる必要はないと、幻想を抱いてしまった。

 何よりヒース・ヘンブリー、マット・バーンズら若手投手らが、非常に良いピッチングを見せはじめた。レッドソックスのファンも、ピッチャーは全員が調子を取り戻したと信じ始め、これで上原と田澤の負担が減る、そして、スミスも近々チームに復帰するだろうと信じていた。

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