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【MLB】「肘を守ることで本来の投球が影をひそめた」田中将大に求められる原点回帰

ヤンキースの田中将大が17日のナショナルズ戦で4回9安打7失点と炎上。開幕戦までオープン戦の登板は残り1試合だ。

2016/03/26

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昨年は調整不足

 十分な量の調整を踏めなかった昨年は、開幕戦で強打のブルージェイズ打線に4回5安打5失点でKOされた。4月下旬には右手首の腱鞘炎を訴え、DL入りする始末。調整不足は明らかだった。
 その轍を踏まないよう、首脳陣は右肘手術明けながら、実戦を1試合増やして田中の調整を前倒しさせた。開幕を迎えるために必要な負荷を肩、肘含めた体全体に与えることはできたはずだ。
 
 ラリー・ロスチャイルド投手コーチは「我々は基本に立ち返る必要がある」とナショナルズ戦後に切り出した。
 
「まずは健康でいることを前提に、いかに肘を守るかということを考えてきた。そればかりに目を向けていては本来の投球ができなくなる。大事なのは、今できることをやることと、自分本来の投球をすることじゃないかな」と続けた。
 
 

本来の投球を取り戻すために

 肘への負担を考慮し、いくつかのマイナーチェンジを施してきた。長くタフなメジャーの1シーズンを戦い抜くために。その結果、田中本来の投球は影を潜め始め、投球自体に悪影響を与えているというのだ。
 
 ナショナルズ戦後に両者はミーティングを持ち、互いの意思確認をしたという。投手コーチのこの結論は田中にも伝えられた。
 
 失敗が許されない次回のオープン戦最終登板では、ある程度昨季までの良かった頃の投球フォームに戻しながら、マウンドに上がることになるだろう。
 
 そこで失った速球の力強さ、制球、変化球の切れを取り戻せるのかどうか。ここまでの実験で、残念ながら新たな投球フォームを求めた試行錯誤はうまくいっていない。頑固にそれを追い求めるよりも、一歩後退して基本に立ち返る勇気を持つことも大切だ。
 
 ほぼ全ての球団が開幕投手を発表している中で、ヤンキースのジョー・ジラルディ監督だけは頑なに沈黙を守り続けている。最後の審判は次回登板後。果たして田中は、2年連続でヤンキースタジアムの開幕マウンドに立つことができるのか。

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