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オプション契約を破棄されても、奪三振率の高い藤川には商品力あり 【豊浦彰太郎のMLB on the Web!】

藤川球児はカブスでの2年間のほとんどを故障者リストで過ごし、FAとなった。来季契約の選択権をカブスは行使しなかったからだ。しかし、その奪三振率の高さに着目する球団からオファーを受ける可能性は十分ある。

2014/11/12

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それでも、藤川の奪三振率の高さは魅力

 しかし、これでカブス退団が決まったわけではない。

 FAとなり全球団と入団交渉が持てるようになり、その「全球団」の中には、当然カブスも含まれるからだ。

 トッド記者はこうも記している。

While it will be hard to commit much to Fujikawa given his age and recent Tommy John procedure, that strikeout tally is hard to ignore. And he had a long run of durable success in the NPB before the Cubs brought him to the majors.
あの年(34歳)でトミー・ジョン手術上がりの藤川と高額の契約を結ぶのは難しいが、(あの秀でた)奪三振率を無視するのもまた難しい。そもそもカブスがMLBに連れてくるまで、永年にわたりNPBでその耐久力を発揮し成功を収めているのだ。

 トッドが「無視するのが難しい」とする奪三振率(9イニング当たりの奪三振数)は、この2年間で11.2だ。リリーフ投手にとって三振が奪えるのはとても重要な資質だ。

 また、メジャーでは投手の実力を最も反映する指標のひとつとして三振と四球の比率(K/BB ケイビービーという)も重視されるが、藤川の場合は3.88。メジャー平均が毎年概ね2.0前後であることを考慮すると中々優秀な値だ。

 藤川の防御率は5.04と一見悲惨に思えるものの、防御率は偶然性に左右される要素が多いこと、投入回数の少ない救援投手では特にそう(藤川は2年間でわずか25.0イニングス)であることは、現地の専門家の間ではもはや常識になりつつある。

 そうなると、トッドが述べているようにカブスが再契約をオファーする可能性は否定できない。

 メジャーでは、一旦オプションを破棄した後でそれより低い金額で新たに契約を結ぶことはよくある。実際、今季の同僚だった和田毅も藤川同様にFAとなったが、球団から500万ドルのオプションを破棄されながら、FAとなった後に1年400万ドルで再契約している。

 故障歴のある34歳の藤川が、他球団も含め今季年俸の450万ドルに迫るオファーを得る可能性は低い。

 藤川自身が来季もメジャーで戦う意思を持っていることが前提だが、彼の高い奪三振率に価値を見出し、金額は低くとも契約を申し出る球団は必ずや出てくるだろう。

出典:”Cubs decline option on Kyuji Fujikawa” by Jeff Todd in MLB Trade Rumors in Oct 30th 2014

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