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【アメリカ記者の眼】ユーモアを持って役割を受け入れた上原浩治。賢者の存在にレッドソックスは感謝すべき

今季、クローザーから競ったセットアッパーへ配置転換が予定されている上原。本人はチームのために前向きな姿勢を示した。

2016/03/19

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配置転換を告げられ、不平不満を露わにする選手は多い

 ボストン・レッドソックスの上原浩治が9回にマウンドへ上がり、セーブする姿はもう見られない。
 だがそれが、上原が今後、不利に動いた試合を立て直すことができないという意味にはならない。
 
 長年レッドソックスを取材し、球団から配置転換を告げられる選手を多く見てきた。
 彼らにとっては、逆境に立たされる、もしくは、単純に自分が年老いたと実感させられる瞬間だ。大抵の場合、どの選手もチーム事情よりも自分のエゴを通したがるものだ。
 
 例えば1997年、ノマー・ガルシアパーラが加入した時には、チームは生え抜きの遊撃手、ジョン・バレンティンを三塁へコンバートした。その際にバレンティンは怒り叫び、あたりを蹴散らしながらその感情を露わにした。
 
 マニー・ラミレスは、移籍時に馴染みの右翼から左翼への変更を打診され、一旦はそれを断っている。
 
 配置転換の理由以外にも、デビッド・オルティスはきわどい球を打ち損じたり、審判の判定に不服だというだけで、あからさまに不満を表しながらダグアウトに戻る、もしくはダグアウトの電話を壊すことで有名だった。
 昨シーズン、ウェイド・マイリーは、成績不振で試合途中で交代させられただけで、ジョン・ファレル監督に向かって癇癪をぶちまけたりもした。
 
 今述べた以外にも、似たような光景を多く目にしてきた。だから、球団が昨年冬、パドレスからクローザーのクレイグ・キンブレルを獲得したのを聞いた時は、上原のことを考えた。2月の投手キャンプインの初日、フォートマイヤーズ入りする彼はおそらく、苛立っているか、怒り心頭か、はたまたその中間ぐらいの心境だろうと想像していた。
 
 あのジョナサン・パペルボンでさえ、過去に同じ状況に置かれ、悩みに悩んだのだ。
 レッドソックスでの役割に不満を感じ、移籍するのは当然だと誰もが感じていた。しかも彼においては、その後球団を転々とすることになる。

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