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規定打席、規定投球回数をクリアした選手はゼロ。来季、日本人MLB選手の巻き返しなるか【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は日本人MLB選手の2015年シーズンについてだ。

2015/12/11

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MLB日本人投手は、故障に見舞われた1年

 次に投手を見ていこう。

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 マウンドに上がったのは8人、中には野手のイチローも含まれている。
 先発投手から振り返る。
 ヤンキースの田中将大は2年目、昨年前半は驚異的な活躍だったが右ひじの故障で戦線離脱。今季も何度かローテーションに穴をあけたもののシーズン終盤まで投げた。ひじに負担をかけない投球にモデルチェンジしたが、防御率、奪三振率などの数字は下落している。

 岩隈久志は、春先は不調。さらに故障で一時戦線離脱したが、シーズン後半から安定感が増し、 8月12日のボルチモア・オリオールズ戦で日本人投手2人目(3回目)のノーヒット・ノーランを記録。オフにチームはクオリファイング・オファーを出したが、岩隈はこれを受けず。現在、FA市場の目玉投手の一人として争奪戦が行われている。

 ダルビッシュ有は開幕前に右ひじを故障、トミー・ジョン手術を受けて今季は全休。来季夏の復帰が予定されている。チームは地区優勝。ダルビッシュの復帰に期待がかかる。

 2012年にトミー・ジョン手術を受け、昨年MLBに初登板した和田毅は今季、マイナー暮らしが続いた。5月に昇格したが故障もあって成績を上げることができず、オフにFAとなった。古巣の福岡ソフトバンク・ホークスへの復帰が決まっている。
 2007年、巨人の大学社会人ドラフト1位だった村田透は、一軍での登板実績がないままに退団し、MLBに挑戦。マイナー契約から這い上がり6月28日、念願のMLB初登板を果たした。AAAでは15勝で最多勝投手となったが、オフは40人枠から漏れFAとなる。 来季は、再びマイナー契約からMLBを目指すことが決まった。

 救援投手は3人。
 リーグを代表するクローザーの一人になった上原浩治は、今季も抜群の制球力でセーブを積み重ねた。しかし終盤に骨折し、シーズンを終えた。オフに剛速球のクローザー、クレイグ・キンブレルの加入が決まったため、41歳になる来季はセットアッパーになることが決まった。
 上原とともに勝利の方程式を形成した田澤純一はセットアッパーとして活躍。シーズン終盤には上原浩治に代わってクローザーとして起用されたが、打ち込まれて防御率を4点台に落とした。来季も上原とともにセットアッパーを任される。

 昨年、トミー・ジョン手術明けの藤川球児は、成績を残せずカブスをFAとなり、レンジャーズに移籍。しかしここでも活躍できず、5月には戦力外となる。その後6月に四国アイランドリーグplusの高知への入団を発表。藤川は2完投1完封を含む好成績を記録し、来季からは阪神タイガースへの復帰が決まった。

 今季は投手も規定投球回数に到達した選手がなかった。これは1995年野茂英雄がMLBに挑戦してから現在までで3回目のことだった。

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