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【高校野球】為せば成る――ストイックな努力でプロ注目選手にのし上がったオコエ

今年の甲子園は早実の清宮幸太郎ばかりクローズアップされるが、そこでプロのスカウトに強烈なアピールをしたのが関東一のオコエだ。

2015/08/16

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身体能力+努力が実を結ぶ

「東東京大会では点差が開いて圧勝の形が多かったのですが、今日は乱打戦になって僅差のゲームになりました。この夏初めての接戦でしたが、チームにとっても自分にとっても経験という意味で非常に良かったと思います。これから長丁場の甲子園ではいろいろな戦いが待っていると思いますが、こういう接戦でしっかり勝てたことで1つの自信につながったと皆で考えるようにしたいです」 

 このコメントは中継局・ABC朝日放送で当日の生放送中に流れたオコエの試合後インタビューの一部分。後日、このオコエの試合後インタビューを見た複数のプロ野球球団関係者から「オコエ君は高校生とは思えないような落ち着き払った話し方をする」という共通の見解を耳にした。その中のスカウトの1人は「勝ったゲームの直後にも関わらず大勢の大人たちに囲まれながらも上気することなく、あれだけスラスラと謙虚に自分の考えが話せるのだからね。常に物事を考えていて、非常に頭のいい選手なのだろう。プロに入っても相当に吸収力が早いはず」と感心しきって太鼓判を押していたほどだ。

 ちなみにオコエは〝遅咲き〟の選手だ。類まれな身体能力を誇ることから入部当初より期待されていたものの、なかなか練習に実が入らず1年生時は伸び悩んでいた。ところが2013年秋の東京大会でチームが歓喜の優勝を決めると、それまで眠っていた闘争心が覚醒。何が何でもチームのメンバーに入って自分も喜びの輪に加わりたいと、死に物狂いの練習を重ねるようになったのだ。そして、どちらかと言えば昔から小食だった食事の量も増やし、ご飯はどんぶりで最低3杯、口へ運ぶことを心がけた。

 同じ人間ができることなのだから絶対に自分もやれるはずだ――。そう自分に言い聞かせ続けることで、オコエは大きな成長を遂げた。肉体改造にも成功し、入部時に70キロだった体重は現在86キロにまで大幅アップ。1年生の時は30キロが精いっぱいだったベンチプレスも今では軽々と85キロをリフトアップすることが可能で筋骨隆々のマッスルボディに変貌を遂げている。

 為せば成る。そういうストイックな一面も持つオコエには多くのプロ野球球団が今秋ドラフトでの上位指名をにらんで目を光らせている。争奪戦となりそうな気配だ。

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