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技術指導で自信を持たせることが、心の成長に。「打撃伝道師」佐相監督が語る激戦区神奈川を勝ち抜く指導論<Part2>

昨年、夏としては初のベスト4入りを果たした県立相模原。強豪校の激戦区神奈川でいかにして勝ちあがっていったのか。「打撃伝道師」と呼ばれる佐相眞澄監督流の指導論をまとめた一冊、『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』(佐相眞澄著)から一部抜粋で公開。

2020/02/21

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『食』は1日に4000〜5000キロカロリー

 体作りは、年間通してのトレーニングが必須。どんなにいい形で打っていたとしても、140キロ以上のストレートをはじき返すパワーがなければ、力負けしてしまう。そこは、中学軟式野球との大きな違いと言えるだろう。バットを強く振り、ボールを遠くに飛ばすためのパワーが必要になる。
 
 県相に来てから取り組んでいるのが、放課後の練習中の補食だ。17時をめどに、女子マネージャーが炊いてくれたお米を1.5合食べる。レトルトのカレーをかけるなど、おのおのが好きな具で食べている。練習後に食べてもいいのだが、そうなると、家での夕飯が食べられなくなり、本末転倒となってしまう。夕飯の時間を考えると、17時がちょうどいいように思う。
 
 目標体重は、おおよそ70キロ。もっとあるに越したことがないが、背の低い選手であっても70キロは欲しい。そうでなければ、私立の力のあるピッチャーを打ち返すことはできない。そのためには補食も含めて、1日に4000〜5000キロカロリーは摂ってほしい。栄養士を招いて、保護者向けに栄養講習会を開くなど、体が大きくなるための知識も伝えている。
 
 とはいえ、体重が増えすぎて、自分の動きが鈍くなるようでは意味がない。だから、無理やり食べさせて、体重アップだけに目的を持たせることは絶対にしない。ある程度は、自分で努力して食べる量を増やさなければいけないが、「吐くまで食べさせる」となると、何が目的なのかわからなくなってしまう。
 
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書籍情報

『打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え』
定価:本体1600円+税
 
【昨年夏の甲子園、神奈川大会で横浜を撃破して話題に!】
 
激戦区・神奈川で強豪私学に〝打ち勝つ〟進学校
束の力で大きな成果を出す
チームを強くし、強い“個”を育てる指導論
 
スポーツ推薦なし、大所帯の部員数、短い練習時間
限られた環境下で、いかに効率のいい取り組みができるか
 
横浜、東海大相模、慶應義塾、桐光学園
神奈川の『四天王』を倒すには、打ち勝つしかない
 
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打撃伝道師 神奈川から甲子園へ――県立相模原で説く「コツ」の教え
 
 
【著者紹介】
県立相模原高等学校教諭
佐相眞澄(さそう・ますみ)
1958年8月31日生まれ、神奈川県相模原市出身。法政二高から日本体育大へ進学。強打の外野手として大学4年時に明治神宮大会優勝を果たした。卒業後は相模原市立新町中から大沢中、東林中に赴任。大沢中では1992年に全日本少年軟式野球大会で3位。東林中では1998年の全国中学校軟式野球大で3位など数々の成果を挙げた。2005年に川崎北高の監督に就任すると県立校ながら、打ち勝つ野球で2007年秋の県大会でベスト4。2012年に県立相模原高に着任。2014年夏にベスト8、同年秋にベスト4、2015年春は準優勝に導き、同校初の関東大会に出場へ導く。2019年夏はノーシードで勝ち上がり、準々決勝では横浜を打撃戦で撃破し創部初のベスト4へ進出。甲子園常連校を倒した公立校として、大きな話題を呼んだ。

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