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「あの時の敗戦が本当に財産になっています」。履正社を変えた奥川恭伸の存在、星稜に選抜のリベンジなるか【甲子園決勝戦展望】

第101回全国高校野球選手権大会の決勝戦が22日、阪神甲子園球場で行われる。圧倒的な打力で勝ち上がってきた履正社(大阪)と、絶対的エース奥川恭伸擁する星稜(石川)が対戦する。果たして101回目の甲子園決勝を制し、令和最初の頂点に立つのはどちらのチームだろうか。

2019/08/21

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「意図的に打ち損じを取れるような投球を目指していきたい」

 一方の星稜は、戦うごとにチーム力が上がってきている印象だ。
 
 3回戦の智弁和歌山戦はタイブレークにもつれ込む激戦となったが、サヨナラ本塁打で勝利。このあたりからチームに勢いが出てきた。
 
 林和成監督は言う。
 
「3回戦で智弁和歌山と対戦があった時に、こんな素晴らしい舞台で(智弁和歌山と)試合ができる。こんなワクワクすることはないぞという話をしました。それまでは選手たちが堅くなったり、勝たなければいけないというプレッシャーがあったんですけど、そういうのがなくなりました」
 
 準々決勝の仙台育英戦ではエースの奥川恭伸が登板を回避したが、打線が奮起して17得点の圧勝。奥川の代役を荻原吟哉が務め、寺沢孝多とつないだ。エースの出番をなくしての完勝はチームを乗せた。
 
 準決勝戦は「本人の強い意志」から奥川が先発に復帰。1、2回と着実に得点を重ねると、奥川が流れを呼び込むように中京学院大中京打線をねじ伏せ、完全に試合の主導権を握った。
 
 6−0の7回裏には奥川自らの適時打などで9点をリード。奥川は8回から左翼手に退き、決勝戦に備える余裕も見せた。
 
 この夏前、奥川は筆者のインタビューで、見て欲しいピッチングについて、こう語っている。
 
「レベルの高い省エネ投球を見せたいと思っています。力を抜いて投げるということなんですけど、そこで真ん中に投げれば打たれることになりますし、コースに投げて打ち損じを意図的に取ると言うこと。相手に打ち損じてもらうのではなく、自分が投げて、意図的に打ち損じを取れるような投球を目指していきたい」
 
 準決勝戦は、まさに高いレベルの省エネピッチングだった。全力投球をせずに、ほぼ完璧に抑えるピッチングを見せた。「究極」を甲子園の舞台で見せてくれるのだから驚くしかない。

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