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連敗を94で止めた東大、背景に「守り勝つ」野球の浸透

東京六大学春季リーグ戦、東大が連敗から脱出した。勝ち点は奪えなかったが、法政を相手にあげた1勝は秋に向けて価値あるものとなっただろう。

2015/05/25

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清水岳志



基礎固めを徹底

 さらに守備力の向上だ。エラーの数が激減している。去年秋が19個でリーグ最多だったが、今季は3個(10試合現在)と最少なのだ。
 シートノック前の内野のボール回しで周回時間を設定し、達成されないと延々、ボール回しを繰り返した。それは1時間弱も続いた時もあったという。
 
 内野だけではなく外野手に変化も見られた。普段から練習をサポートしている、ある東大OBはこう話す。
 
「捕球してからすぐに内野に返球することを心がけた。捕球姿勢を整え、モーションもすばやくすることによって、走者の進塁を防いだ」
 
 これまでの二塁打を単打に、三塁打を二塁打に留めた。
 
 ボール回しや返球だけではなく、ノックもミスがなくなるまで2時間も続くことがあったそうだ。基本的なことは効率ではなく、量を積み重ねた。
 
 基本ができたら応用。
 
 守備練習でも相手校の打者を想定した。相手打者の打球を放ってからの一塁までの到達時間を計測し、普段のノックでその時間を計りながら、目標タイム以内の送球を徹底した。
 
 ここ数年、走り込みを増やして下半身強化、体幹強化を行ってきたが、その成果が出てきた。ケガをする選手が減っているというのだ。これは野球以前の体作りの基礎の部分だ。
 
 試合に臨む上での意識改革としては、自分で判断をしないこと。アウト、セーフ、フェアとファールなど。思い込みのジャッジでチャンスをつぶしたり、致命的な得点を与えることはよくあるケース。一瞬のプレーに集中することでゲームの緊張感も保たれる。
「すべては土台作り、野球の原点に立ち返ることができてきたことに連敗脱出の要因があった」とそのOBは言う。
 
 勝ったゲームに登板した4人の投手とクリーンアップは2、3年生。1年生の初打席初本塁打が出たりと、下級生が活躍している。
 結局25日に行われた法政戦では0-6の完封負けで勝ち点は奪えなかったが、不名誉な記録に終止符を打ち、秋に向けて価値ある1勝になったはずだ。
 
 
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