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大先輩・松井氏に動じなかった星稜ナイン。3年前は王氏が登板、“偉人”による始球式の影響とは

第100回全国高校野球選手権記念大会が5日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕した。開幕戦は始球式を務めた松井秀喜氏の母校・星稜(石川)-藤蔭(大分)のカード。星稜が勝利し、大先輩の登板に花を添えた。

2018/08/06

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想定外の先発も慌てず、チーム内で情報共有でカバー

 だが、開幕投手の奥川は落ち着いていた。
 
「緊張はしたんですけど、ゲームの入り方に気を付けていました。始球式のことは意識しないようにしていました」
 
 初球、いきなり146キロのストレートを投げ込むと、1番打者はストレートだけで二ゴロに抑え、初回は三者凡退の抜群のスタートを切った。
 
 一方、後から守った藤蔭は、県大会5試合に先発したエース・市川晃大ではなく、今大会からベンチ入りを果たした吉村紘輝を先発に立てた。
 
 想定外の先発にも、星稜打線は慌てなかった。
 
 主将の竹谷理央は言う。
 
「エース以外が先発するとは想定はしていなかったですが、もともと相手の情報を持っていたわけではなかったんで、動揺するというほどではなかったです。情報がない投手と対戦する時は、ボール球を振らないこと、どんな球種があるのか、どんな曲がり方をするのかを見極めて、チーム内で伝えていくことが大事になります」
 
 先頭の東海林航介が中前安打で出塁すると、その後に相手投手の制球難につけ込み1点を先制した。東海林が果たした役割は大きかった。
 
 3回裏には、1死二塁の好機をつかむと3本の適時打で3点を先取。相手先発投手をマウンドから引きずり下ろした。
 
 1番の東海林は言う。
 
「(先発投手は)身長があったので、上から投げてくるだろうという想定の中で、変化球は縦の変化なのかなとイメージしていました。軽く腕を振って伸びのある球を投げてきたので、タイミングを早く取ることを意識して、変化に対応できるようにしました。今日に限らずですが、対戦相手の投手に対してチーム内で情報を共有してきました。チーム同士の信頼もある。つなぐ野球ができたと思います」。
 
 エースの落ち着いた立ち上がりと打線の爆発。4回に2点を追加し、6回にも3点を挙げて試合の大勢を決めた。
 
「今日は指の掛かりがイマイチだった。150キロは出ましたけど、しっかり修正したい」と、エース奥川。さらに東海林も「しっかり打てましたが、盗塁のミスがありましたし、バントも一発で決められなかった場面があった。勝ち上がっていくためには、そこを突き詰めていかないといけない」と満足はしていない。ただ、偉大な先輩の始球式に花を添える勝利を挙げた。
 
 豊富なタレントを揃え、優勝候補とも言われる星稜が今後を期待させる好スタートを切った。
 
 
文・氏原英明

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