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大阪桐蔭は“最強世代”か。「ネット社会の虚像」、タレント集団ならではの難しさとは

第90回記念選抜高校野球大会が23日、阪神甲子園球場で開幕する。記念大会のため出場校が36校に増加した今大会は白熱した展開が予想される。優勝候補筆頭とされるのは大阪桐蔭。「最強世代」と言われるが、指揮官はその評判をどう見るのか。

2018/03/22

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Hideaki Ujihara



結果を残すのは“最強世代”の次の世代

 コーチ・監督として25年、たくさんのチームを見てきた。冷静に振り返って、今年のチームが特段ずば抜けたチームという手ごたえを感じていないのだ。
 
 「歴代で言えば、上から数えて10番目くらいのチームだと思います。中村剛也(西武)のチーム、辻内崇伸・平田良介(中日)の一つ上の代、中田翔(日本ハム)のいたチーム、藤浪晋太郎(阪神)の一つ上の代の方が圧倒的に強かったと思います。最強世代と言われるのは、ちょっと恥ずかしいですね」
 
 西谷監督が先に挙げた世代は本当に強かった。
 
 中村の代を詳しく知っているわけではないが、2003年から同校を追いかけている身としては、現在のチームが10番目とまでは思わないまでも、過去にはもっと強いチームはあったと記憶に残っている。
 
 しかし、ここに挙げられたチームには共通点がある。
 
 夏の甲子園出場を逃しているのである。
 
 「中村の代を甲子園に連れていけなかったことは、いまでも忘れません。指導者としてなんと力がないのかと。あのチームはたたき上げで一番練習をして強くなったチームでした。大阪府大会の決勝戦では0-5から追いついたのに、延長戦で敗れてしまった。あのチームを甲子園に導けなかったことは、僕にとって忘れてはいけないことだと思っています」
 
 そして、奇妙なことに、これらの「最強世代」と言われた翌年のチームは結果を残しているのだ。
 
 中村の一つ下である西岡剛(阪神)がいた2002年は11年ぶりの夏の甲子園出場を果たし、平田・辻内がいた2005年は甲子園ベスト4、浅村栄斗を擁した2008年は17年ぶりに優勝旗をもたらした。藤浪晋太郎―森友哉がバッテリーを組んだ2012年は春夏連覇を果たした。
 
 西谷監督がかつて「最強」と思えたチームさえ結果を残せていないという現実があり、そう思えば思うほどに、今年のチームに物足りなさを感じてしまうのだ。

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