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「高校から木製バット」は強打者を減らす? 韓国野球界の功罪。異変もたらした指導法の変化

長距離砲として期待された高卒選手がプロ入り後、金属バットと木製バットの違いに苦しむケースは多々ある。一部では、高校から木製バットの使用を促す声もある。一方、韓国では国際ルールに沿い、高校生も木製バットの使用が義務付けられている。ところが、この木製バットの導入によって、強打者が育たない状況となっているという。(2017年11月16日配信、再掲載)

2020/04/10

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低反発球も導入。指導法に変化が

 2010年には34本と過去最低のホームラン数を記録している。だが面白いことに2014年からはまた164本と爆増。2015年度にも174本と大きく増えた。2004年の273本には及ばないが、過去10年の中で最も多いホームランが生まれた。
 
 結論から言うと、すべてを木製バットのせいにするのは不可能である。2013年には韓国高校野球は「公認球の反発力」の問題で大きく揺れた。本来なら90%以上の羊毛の含有量を持つべきだが、含有量が落ちる、つまり反発力が劣るボールを使用していたことが判明したのだ。
 
 2014年からこれらが改善し、ホームラン数がドラマチックに増加したのだ。もともと金属バットより飛距離の出ない木製バットと反発力のないボールが組み合わさったため、ホームラン数を減らしたといえる。
 
 だが、軽く見逃してはいけない部分もある。木製バットの使用による指導法の変化だ。韓国プロ野球の古豪、ロッテ・ジャイアンツで13シーズン間活躍し、長らくキャプテンをも務めたジョ・ソンファン氏もこれらの問題を指摘する。
 
 現在、韓国共営放送のKBSが持つスポーツチャンネル、「KBSNスポーツ」でプロ野球や高校野球の解説を務めている彼は「そもそもスウィート・スポットが違う」といった。
 
 スウィート・スポットとは、ボールを打った際にもっともいいボールが生まれるバットの中心点。ジョ氏によると「金属バットは木製バットよりもスウィート・スポットが広い。だから中心点に当てなくても、力を入れなくても飛距離が出る」という。

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