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花咲徳栄、“序盤力”生み出す攻撃的打線。全国制覇の鍵握る継投のタイミング【全国高校野球】

2017/08/23

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 3年連続出場の花咲徳栄は1回戦から3回戦まで、序盤に驚異的な得点力を発揮した。1回戦の開星戦では3回までに5点を先取、2回戦の日本航空石川戦では1回に5点、3回戦の前橋育英では1回に4点といった具合だ。
 
 “序盤力”を生み出す要因は、打順にある。通常、高校野球などでは2番打者に小技に長けた「つなぎの打者」を置くケースが多いが、花咲徳栄は旧チームで1番打者だった千丸剛を起用し、攻撃的な打線を組んでいる。
 
 その千丸とドラフト候補の3番・西川愛也、2年生4番・野村佑希の破壊力に加え、準々決勝からは高井悠太郎、小川恩など下位打線にも穴がない。どこからでも得点が奪えるのが強みだ。
 
 投手は背番号10の綱脇慧とエース・清水達也の2枚看板で勝負する。先発は綱脇だが、「打たれ出した止まらないタイプなので、そこが継投のタイミング」と岩井隆監督は言う。その後、清水が登板して試合をクローズしていく。
 
 綱脇は直球とスライダーを駆使し、清水は150キロの直球とフォークを武器とするパワーピッチが持ち味だ。「同じタイプだとあんまり意味がない。違うタイプの投手をと思って作って来た」と指揮官の投手マネジメントが功を奏している。
 
 広陵は選手に考えさせる野球だが、花咲徳栄は岩井監督が選手たちを上手く操縦している。
 
 例を挙げると、投手対策として、ある制限を設けて選手を打席に立たせるときがある。千丸によると、「この試合はインコースは振るなとか、低めは振らない」など、戦い方を徹底的に指示する。
 
 岩井監督は「1、2回戦はオーソドックスに戦っていたんですけど、3回戦は相手の力が上だと思っていたので、打つにしても、守るにしても、攻めまくる試合をしました。大事に勝つ、攻めて勝つという2つの戦い方ができる。それがチームの成長に繋がってるのかなと思う」と語る。
 
 3回戦の前橋育英戦の勝利は、花咲徳栄にとって非常に意味のある試合だった。花咲徳栄は過去2年、甲子園で“関東対決”に敗れてきた。そして、その相手だった東海大相模は2015年、作新学院は16年にいずれも全国制覇を遂げた。
 
 今大会の優勝候補の一つでもあった前橋育英戦での勝利はターニングポイントに位置づけられる試合でもあった。
 
 埼玉県勢の悲願達成に向け、花咲徳栄が最後の一戦に挑む。