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WBCへ選手派遣見送り、辞退者続出……投手陣課題のチャイニーズ・タイペイはロッテ陳らが柱。強打の打線で活路開けるか

駒田英さんは、台湾の政府系海外向け短波ラジオ放送の日本語放送の記者、パーソナリティだ。番組では台湾の様々なトピックを日本に紹介しているが、とりわけスポーツ分野では共著「台湾プロ野球(CPBL)ガイド」を著すなど造詣が深い。ウインター・リーグが開催される、台中洲際棒球場で今年の台湾プロ野球事情と、WBCの代表チームについて話を聞いた。

2016/12/26

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4割打者が一気に3人誕生! 「打高投低」がさらに顕著の台湾プロ野球

――WBCの展望を伺う前に、少し話を戻して、今年のCPBL(台湾プロ野球)事情を教えてください。
 
 CPBLは昨年、リーグ平均打率が初めて3割を越え、平均防御率も初めて5点台を突破、打撃部門で様々な新記録が生まれましたが、今年は平均打率が.308、平均防御率は5.95と、「打高投低」がさらに顕著となりました。
 
 公式球の反発係数、ストライクゾーン、チーム数の少なさなど、様々な要因が指摘されています。CPBLは改めて公式球の入札を行うということですが、投手受難の時代に終止符が打たれるのか気になるところです。
 
――平均打率3割、平均防御率5点台とはNPBでは想像できない数字です。
 
 そして今シーズン、リーグ設立27年目で4割バッターが初めて、それも一気に3人誕生しました。
 
 特に首位打者、新人王など6部門を受賞したラミゴ・モンキーズの2年目、王柏融は、打率.414、29本塁打、105打点と素晴らしい成績を挙げ、MVPに輝きました。王選手はリーグ新記録となる200安打を達成、CPBLは120試合制(王選手は116試合出場)ですから、その「安打製造機」ぶりをご理解頂けると思います。
 
「打高投低」とはいえ、王選手らトップクラスの打者の能力については、海外の指導者、スカウトも高く評価しています。王選手は以前から日本を含め海外でのプレーを希望していますので、是非注目して頂きたいと思います。
 
――ペナントレースの展開はどのようなものでしたか。
 
 CPBLは前後期制です。今年の台湾シリーズは、後期優勝の義大ライノズが、前期優勝の中信兄弟を下し、前身の興農ブルズ時代を含め3度めの台湾チャンピオンとなりました。
 
 実はライノズは成績不振だった前期の6月に、親会社が球団売却計画を発表しました。9月には台湾の金融大手、富邦ホールディング(HD)への身売りが決定。勢いづいたライノズはそのまま後期、台湾シリーズを制し、有終の美を飾りました。
 富邦HD傘下の球団運営会社は先月、チーム名を発表、富邦悍将(フーボン・ガーディアンズ)となりました。
 
 一方、台湾シリーズで3年連続涙をのんだ中信兄弟は、呉復連監督の解任を発表、また、統一セブンイレブンライオンズの郭泰源監督も成績不振の責任を取り辞任しました。WBC台湾代表で郭泰源氏は監督、呉復連氏はヘッドコーチを努めており、2人は代表チームに専念することになります。ちなみに呉復連氏は埼玉西武ライオンズ、呉念庭選手のお父さんです。
 
――観客動員はどうでしたか?
 
 今シーズンの平均観客動員数は、昨年比6.2%増の5872人と、近年では、WBCの第2ラウンド進出、マニー・ラミレスの義大入団で湧いた2013年に次ぐものとなりました。この4年は5000人台をキープしており、野球人気は定着したといえそうです。

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