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阪神から指名、糸原健斗の武器は走攻守高い平均点。信念と努力で自分の進んだ道を正解に

阪神タイガースにドラフト5位で指名された糸原健斗(JX-ENEOS)は、プロからの指名を信じて取り組んできた日々の努力が実を結んだ。

2016/11/20

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グランドスラム



二遊間で勝負したいと監督に申し出るも……

 そうして、声をかけられた数社の中からJX-ENEOSを選ぶ。都市対抗連覇をはじめ黄金時代を築いたチームなら、激しいレギュラー争いで心技にわたって成長できるはずだし、プロのスカウトにアピールできるチャンスも多いと思えたのだ。

 入社直後からスタメンに抜擢されるなど、糸原の歩みは順調に見えた。打撃面での力強さも発揮して、チームになくてはならない存在へ成熟していく。だが、器用にこなす内野守備では、故障者や調子を崩す選手が出ると穴を埋める役割を任され、糸原自身が希望したセカンドだけではなく、サードやショートもこなすようになる。さらに、1年目は都市対抗二回戦敗退、日本選手権は予選敗退と、全国の舞台でアピールするチャンスも限られてしまう。

 ドラフト解禁の今季を迎えるにあたり、糸原は普段の練習から地道なスキルアップに励む一方で、和嶋利博監督に「二遊間で起用してほしい」と願い出る。

「僕の気持ちは監督に伝えましたが、チームは僕をプロに出すためでなく、都市対抗で優勝するために戦う。だから、チーム事情でどのポジションを守ることになっても、しっかりチームに貢献しようとプレーしました」

 その結果、主に三番サードで起用される。JX-ENEOSの試合を視察するスカウトに聞くと、「やはり二遊間の選手に目が行く」という声が多く、しかも今年は即戦力の内野手を補強するプランはないという球団が少なくない。それでも、高校時代からの目標を叶えるため、糸原は必死にプレーしていた。

 都市対抗は予選で敗れ、補強された東芝も東京ドームで一回戦敗退と、昨年に続いて決定的なアピールをすることはできなかった。ドラフト会議の直前までは「頑張っているけれど、もう1年チャンスを待つことになるのかな」という印象だった。

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