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【ドラフト交差点】超高校級、4者4様の個性あふれる“九州四天王”の進路選択。九州地区は今年も大豊作

2016年度のドラフト会議が20日に迫っている。この1年を振り返ると、様々な選手たちがドラフト戦線に名乗りを上げた。各地区でしのぎを削り運命の日を迎える。そんなドラフト候補たちをリポートする。今回は”超高校級”と評された九州地区の4人だ。

2016/10/13

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最速154キロの火の玉ストレート

 梅野雄吾の持ち味はなんといっても直球だ。最速154キロは、4人の中ではもちろん最速。九州歴代で見ても、今宮健太(明豊~ソフトバンク)と並ぶ2位タイの速さである。スライダーやカットボールなどスピード系の変化球も申しぶんのないレベルにあるが、「究極の負けず嫌い」を自負するだけに、ここぞの場面では首を振ってでも直球を投げ続けた。
 
 カミソリのような山本の直球に対して、梅野の場合は力勝負で押し切り可能な球威が最大の特徴。「ソフトバンクの森唯斗のように、相手が山を張っていると知りながら、むしろ知っていればこそ、真っすぐで勝負できるファイタータイプ。短いイニングなら早い段階で1軍でも使えそうだ」というスカウト評も充分に頷けるものがある。
 
 175センチと決して身長に恵まれているわけではない。しかし、80キロまでビルドアップし厚みを増した肉体には、数値では測ることができない先天的な強さがある。
 
 じつは高校3年最後の夏を目前に控えた6月初めから、梅野は肺炎のために1カ月近くもチームを離脱した。完治までは自宅療養を言い渡され、いっさいグラウンドにも立ち入っていない。症状がある程度持ち直しても、外出が禁止されたために自宅周辺を走ることもできない。この期間に体重は4キロも落ちた。
  
 夏の開幕を1カ月後に控えた6月末になってチームに合流した梅野は、富島(宮崎)との練習試合で即先発登板を果たす。途中、スタミナが落ちていると実感したが「体がダルいとか軽いとかいうは感じなかったッス」と、何食わぬ顔で140キロ台の直球を連発。最大の持ち味である全体重の乗った球威も健在で、顔色ひとつ変えずにマウンドを降りていった。
 
 ほぼぶっつけ本番となった夏の初戦でも8回を投げ9奪三振、1失点。球速も150キロに達し、調整不足をモノともしないフィジカルの強さと、肩の“できの早さ”をあらためて見せつけたのである。
  
 高校生投手では九州地区最速の154キロを誇る。2年秋の福岡大会ではライバルの福岡大大濠・浜地との投げ合いを、ノーヒットノーランという圧巻の内容で制した。翌日の決勝でも8回まで無安打投球を続け「まさかの2日連続ノーヒッターか?」と話題を呼んだ。
 
 万人に伝わる火の玉ストレートで相手打者の腰を引かせ続けた剛腕は、すでにプロ球界での日本人最速更新を公言している。

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