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2023年スローガン『Just do it~あとはやるだけ~』 仙台育英・須江航監督の思い

2022年夏の甲子園で、東北勢初の全国制覇を成し遂げた仙台育英高校。新チームでも宮城大会準優勝、東北大会優勝を果たし、本日3月18日に開幕するセンバツの出場権を獲得した。チームを率いる須江航監督はどのような思いで、春に挑むのか。

2023/01/27

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産経新聞社



仙台育英・須江航監督 インタビュー

これ以上のメッセージはない、最高の言葉

 2023年、須江航監督は年が明けるタイミングに合わせて、チーム全員にスローガンを送った。
 
『Just do it ~あとはやるだけ~』
 

 
 決して、大手スポーツブランドのマネをしたわけではない。須江監督が、スローガン誕生の秘話を嬉しそうに語ってくれた。
 
「昨年の10月中旬、学校のグラウンドから、秋の東北大会(山形開催)にバスで向かうときでした。ベンチ入りメンバーを乗せたバスが動き始めようとしたタイミングで、2年生の菅野圭汰が車輪付きのホワイトボードを走りながら引っ張ってきて、そのボードをドンドンと叩いたんです。『みんな、これを見ろ!』って。ホワイトボードには、『あとはやるだけ!』とシンプルな言葉が書いてありました。そのときに思ったんです。『今の彼らに、これ以上のメッセージはない。最高の言葉』。2023年のスローガンが決まりました」
 
「Just do it」を加えたのは、『あとはやるだけ』を強調するためだ。
 
 仙台育英のチームスローガンは、夏の全国制覇によって広く知られるようになった『日本一からの招待』。さらに、その年ごとのスローガンを決め、進むべき方向を示している。
 
「言葉によって、人は動き、人の心が動くことによって、チームは作られていく」
 
「過去と現在と未来をつなぐ言葉こそが、チームを突き動かす。過去にこんなことがあり、現在はこのような状況で、これを大事にしていけば、思い描いた未来に近付ける」
 
 自著『仙台育英 日本一からの招待』(カンゼン)でも語っているように、言葉を大事にしている指導者だ。
 
 昨年は、「必要な言葉を見極めたい」とスローガンの発表を2月まで延ばしたすえに、『Everything’s all up to me ?全ては自分次第?』を掲げた。
 
 日本一を目指した2021年夏、監督就任後初めて宮城大会で敗退。挽回を期すために選んだ言葉だった。
 
「コロナ禍2年。未だに多くの活動が制限され、従来通りの高校生活ができない日々が続いている。その中で何にも言い訳をせずに今を精一杯生き、高校野球をとおして多くのことを学び切るために『全ては自分次第』であると前向きにひた向きに選手、指導者がともに進んでいく」
 

 
 2022年世代はその言葉どおりに突き進み、うまくいかなかったことも苦しんだことも、すべてを自分の糧にして、ひとつひとつの壁を乗り越えていった。

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