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阪神のルーキー・板山、乙坂らプロ10人輩出。全国屈指の名門・中本牧リトルシニアの教え

選手にとって、指導者の教えがその後に大きく影響する。多くのタイトルを獲得し、プロ野球選手を10人輩出した中本牧リトルシニアの村上林吉監督は、「大切なのは出会いと我慢、故障しない体づくり」と語る。

2016/01/02

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高木遊



故障しない体づくりと各々に合った高校進学を

「成長が早く、体の大きい子はトレーニングを積まなくても力があるけど、成長が遅い子や早生まれの子はそういうものが無い。だから、体が大きくなってくる16歳までにいかに我慢できるかなんだよね」と村上監督は、辛抱することの大切さも説く。
 
村上林吉監督(中本牧リトルシニア)
 
 また、指導で大切にしているのは、「故障しない体づくり」だ。
 
「この中学3年間、そして高校1、2年の間に選手はグンと成長する。だから、そこで故障があると本当にもったいない」と語り、故障しやすい動きになっていないか、練習のしすぎはないかと目を光らせる。
 
 ウェイトトレーニングは行わず、自らの体重を使う腕立て伏せや、バット振り(普通にスイングするだけでなく、振りかぶったり、横に振ったりするもの)、ベース間を左右に往復するトレーニングノック、走り込みなどで選手たちの基礎体力・筋力を鍛える。
 
「体が出来上がらないと技術論は語れないんだよね。中学生には中学生の教え方をしないといけない。体幹を中心とした筋力が無ければ、どんな理論があってもダメなんだ」
 
 だからこそ、選手の高校選びも大事な要素だ。
 
「有名な学校に行きたがる子や親御さんは多いです。でも成長のスピードはそれぞれ。体がまったくできていないのに名門校へ行っても、厳しい練習で故障したり、体づくりだけで3年間が終わってしまう」と力を込め、その先々での出会いを大切にして欲しいと切に願っている。
 
「環境が人間を変えるからね。出会いがあれば、どんなバカでも引っ張ってくれるし、頭良くても出会いが悪ければ上手くいかないことがあるからね。上手くいかないことがあっても我慢して、良い出会いをして、運を掴んでいって欲しいな」
 
 最後にそう目を細めた村上監督。本牧埠頭にほど近いグラウンドから、これからも社会という大海原に出て行く選手たちを厳しく鍛え、そして温かく見守っていく。
 
中本牧リトルシニア
1978年に創立以後、斉藤秀光、高橋光信、斉藤宜之、森野将彦、小池正晃、小山良男、円谷英俊、中村亘佑、乙坂智、板山祐太郎をプロ野球界へ輩出。1998年に横浜高が甲子園春夏連覇を果たした際は、小山、小池、常磐良太、松本勉が主力を担った。チームとしても春夏の全国大会、ジャイアンツカップの3大大会すべてで優勝を経験する全国屈指の名門チーム。

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