大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



クイック+送球が3.5秒以下ならアウト…専門家が語る盗塁論(3)筑波大・川村卓准教授

2022/08/19

text By



ピッチャーのクセを見抜くためには…

──ひとつ目のピッチャーのクセから教えてください。川村先生が率いる筑波大も、リーグ戦では相手チームのけん制をかなり分析しているのではないでしょうか。
 
川村 それが、なかなか難しいところで、けん制のクセを知るには、一塁側からの映像が必要になります。ただし、一塁側からピッチャーの映像だけを撮り続けるのはフェアではないので、バックネット裏からの映像で分析するしかありません。あるいは、実際の試合で数多く出塁して、そのなかで分析していく必要があります。そのため、一塁コーチには、クセを見抜くのがうまい選手を置きたいですが、そうしたことができる選手がいつもいるわけではありません。
 
──以前、「一塁コーチに、代走要員の選手を置いておく」と話していた指導者がいました。
 
川村 うちもやったことがあります。そういう感性がある選手がいれば、嬉しいですね。
 

 
──「クセを見抜く」という観点で、高校生にアドバイスを送るとしたら、どんなことでしょうか。
 
川村 わかりやすいのは、間合いです。サインを見て、セットポジションに入ってから、ホームに投げるまでのリズムが一定になるピッチャーが結構います。首振りの回数や、セットの秒数が変わらない。そして、ピンチになるほど、ランナーに対するケアが薄くなるので、無意識のうちにクセが出やすくなります。
 
──『無くて七癖』ということわざもありますが、どんなピッチャーでも何らかのクセがあるものでしょうか。
 
川村 そう思います。ただし、ひとつの動きだけを凝視してしまうと、違うところが動いたときに反応できなくなります。フォーム全体を見ていくなかで、クセに反応できるのが理想と言えるでしょう。

1 2 3 4 5