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高校球界から新たなスター誕生の予感――明治神宮大会で覚醒した大阪桐蔭の高山優希

明治神宮大会高校の部は、高松商の優勝で幕を閉じた。この大会には来年のセンバツや夏の甲子園で活躍を期待したい、好投手が多く出場した。

2015/11/21

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山崎、高田は2016年の成長が楽しみ

 投手陣では、二人の投手を挙げたい。
 敦賀気比の長身エース・山崎は、準優勝に輝き、その存在感を示した。ストレートはMAX144キロあるが、今大会で光ったのは、むしろ、変化球の方だ。緩急差で見せるカーブと打者の手元ですっと変化するスライダーやフォークは、高校生では、そう簡単に打てる球ではない。しっかりとコントロールされている。

「自分の背が高いので、変化球は低めに決まれば打たれない自信はあります。ストレートが課題ですね。この冬の間に、下半身を鍛えて、体の使い方を覚えたい」と山崎はなすべきことを見据えている。

 その山崎と投げ合ったのが創志館の高田である。
 今年の夏の岡山大会で決勝進出するなど、この世代で、もっとも前評判の高かった選手だ。松坂大輔の高校時代を彷彿とさせるマウンド上での立ち居振る舞いにスターを感じさせるのが高田の印象である。
 しかし現時点では、変化球偏重の投手と言わざるを得ない。ストレートの最速は150キロを計測するというが、今大会ではストレートに威力は感じなかった。むしろ、高速スライダーやカーブの切れが際立っていた。

 ストレートの質が落ちていた遠因にはスライダー偏重によるものだろう。スライダーを投げた後にひじが下がる傾向にあり、特に、ストレートを投げると、その影響をもろに受ける。配球が外に偏っていたことも気になる部分だ。

「ボール自体は通用していたと思いますが、考え方の甘さが出た。今までは、外だけでも抑えられましたけど、全国の舞台では、インコースを攻めきれないと厳しいということが分かりました。インコースにストレートを投げるのが苦手なわけじゃありませんが、この冬の課題にしていきたい」

 アマチュア野球ではよく見られるが、下級生のうちに注目されると、変化球偏重に陥る。「勝ちたい」、「勝たなければいけない」気持ちが先行し、抑えられやすい方の球種を選択する。
 特に、秋の時点では、打者の技量・経験がまだ足りないために、切れのある変化球を持っている投手ほど、その球種を選択して抑えるのだが、一方で、変化球の投げすぎがきたす、影響も少なからずあるのである。

 神宮大会で敗れたことで、高田は大きな経験を得たことだろうし、先のコメントにもあるよう、反省はこの冬で生かされるはずだ。投げるのをいったん止め、フォームを見つめ直すことから始められれば、偉大な投手へと近づく日はやってくる。それほど、身体能力が高いのだ。

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