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史上初四冠王の可能性 『ライバル』と『師匠』が語るヤクルト山田のスゴさ【新・燕軍戦記#11】

NPBでは13年ぶりのトリプルスリー達成が見えてきた。それどころか打率、本塁打、打点の三冠に盗塁王を加えた、史上初の『四冠王』の期待もかかる。そんな驚異の23歳、東京ヤクルトスワローズの山田哲人のスゴさとは……。

2015/08/29

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杉村コーチ「まだまだ伸びる余地はある」

 山田にとっては打撃の『師匠』である杉村繁チーフ打撃コーチも、川端と同じく「すべてスゴい」と愛弟子を評する。

「23歳の若さで、あの体でホームランをあれだけ打つんですから。ホームランに関しては、コツをつかんだっていうのもあるでしょうね。プロ野球ってコツだし、コツをつかめば打てるだろうし。まあでもね、日頃の練習と謙虚な態度じゃないですか。規格外の選手ですけど、完成はされていないので、まだまだ伸びる余地はありますよ」

 その杉村コーチも、山田のトリプルスリーについては「今年の頭からそう(達成してほしいと)思っている」と言うが、一方で三冠獲得には複雑な思いがある。

「僕はバッティングコーチだからね。やっぱりみんな頑張ってるわけじゃないですか、川端も畠山も。だからテツ(山田)が全部獲るのもいいけど、平等に(三冠を)3つ分け合えたらいいのかなっていう親心がありますね」

 トリプルスリーに関していえば、現時点で届いていないのは盗塁だけ。残り試合を考えれば30盗塁到達も時間の問題と言えそうだが、現役時代に2度の盗塁王に輝いている福地寿樹外野守備走塁コーチは、こう話す。

「彼だったらすんなりいくと思いますけど、優勝争いをしているわけですから、簡単に走っていいというわけにはいかないことも多くなる。今までもそういう中で走ってきてるんで、彼の場合は盗塁の価値が高いんですよ。1年間自由に走っていいよって言ったらどこまでもいくと思いますけど、そうじゃないんでね。本当は1日でも早く4個走らせたいし、早く楽になってほしいんですけどね」

 トリプルスリーも三冠王、あるいは『四冠王』も誰もが認める偉業である。そこに優勝や日本一が加われば、その価値は計り知れないものになる。だからこそ、大事なのはここからの戦い。現在セリーグ2位のヤクルトは、8月28日から敵地・甲子園で始まった首位・阪神との3連戦初戦を落とし、その差を3ゲームに広げられてしまった。山田もここへきて3試合連続ノーヒットと、精彩を欠いている。

 杉村コーチは「若い選手は優勝の味を覚えると、一段と良くなる。人間的にも技術的にも、選手としてね。だからそういうのを経験して、1つでも2つでも上の選手になってほしい」と言うが、そのためにもシーズン残りの25試合は実に重要。それはまた、山田の真価が問われる25試合にもなるはずだ。

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