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【プロ野球評論家・与田剛の眼】セパともに第1戦の勝敗がすべて。打力の広島、リリーフ陣が揃うオリックスが有利か

 セ・パともにクライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージが開幕する。セ・リーグは昨年に続き阪神(セ2位)と広島(セ3位)、パ・リーグはオリックス(パ2位)と日本ハム(パ3位)の顔合わせとなった。はたして、先に2勝を挙げファイナルステージへと駒を進めるのはどのチームなのか? プロ野球評論家の与田剛氏にCSファーストステージの行方を占ってもらった。

2014/10/11

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日本ハムは西川、オリックスは糸井がポイント

 パ・リーグですが、今シーズン、2位オリックスと3位日本ハムのゲーム差は6.5ありましたが、両チームの対戦成績は12勝12敗とまったくの5分。実力拮抗の好勝負が期待できそうです。

 この試合の見どころは、なんと言っても第1戦に先発する金子千尋VS大谷翔平の投げ合いです。
 私は、パ・リーグのファーストステージは第1戦がすべてだと思っています。
 この試合に勝ったチームがファイナルステージに駒を進めるのではないかと。それだけにふたりの投げ合いというのは大注目です。

 今季、ふたりの直接対決はありませんが、金子は日本ハム戦に3試合先発して0勝2敗、大谷はオリックス戦に2試合先発して2勝0敗。最多勝、最優秀防御率の二冠に輝いた金子ですが、厳しい戦いを強いられそうです。

 金子攻略のカギを握るのは、パ・リーグ盗塁王に輝いた1番の西川遥輝です。

 今シーズン、日本ハムの中でいちばん成長した選手じゃないでしょうか。塁に出れば、走るだけでなく、大きなリードで相手バッテリーを揺さぶる。また、シーズン終盤はバッティングにも大きな成長のあとが見られ、長打力も増してきた。本当の意味でピッチャーが嫌がるバッターになりました。西川がどんなバッティングを見せ、どれだけ出塁できるかに注目です。

 逆にオリックスにしてみれば、どこまで大谷を攻略できるかにかかっているのですが、その中で注目したいのが糸井嘉男です。今シーズンは最後まで安定したバッティングを披露し、首位打者を獲得。しかし、後半戦は足の具合が思わしくなく、万全の状態ではありませんでした。

 どこまで状態が回復しているかも気がかりですが、彼が攻守において高いパフォーマンスを見せてくれないと、オリックスも厳しい戦いになると思うんです。オリックスの場合、磐石のリリーフ陣がいますので、常にリードした状況に持ち込みたい。そのためには攻撃陣の奮起が必要です。

 糸井が打てば、ペーニャにかかる負担も少なくなる。シーズン終盤の戦いを見ると、糸井が万全の状態ではなかったこともあって、ペーニャ自身、「自分が打たなきゃ」と思いすぎて、相当力んでいました。ペーニャを楽な状態で打たせるためにも、糸井の活躍は欠かせません。

 最後に、セ・パそれぞれどっちが勝ち上がるかを予想すると、セ・リーグは広島、パ・リーグはオリックスだと思っています。
 理由は、広島は攻撃力を考えれば阪神よりも数段上だからです。短期決戦というのは、勢いをつけるという意味でもどれだけ得点できるかにかかっていると思います。両チームの攻撃力を比較すれば、広島がやや有利かなと思いますね。

 パ・リーグはオリックスです。金子という絶対的エースがいるのと、何よりリリーフ陣の充実度は12球団一だと思います。
 彼らが後ろに控えることで、日本ハムの攻撃陣にプレッシャーをかけることができる。リリーフ陣が強力だと、早い回に点を取らなきゃいけないという意識が働き、焦りを生んでしまう。
 そうしたプレッシャーに若手が多い日本ハムの選手が耐えられるかどうか。経験値という差で、オリックスに軍配が上がるような気がします。

 いずれにしても、シーズンとはまた違う緊張感のある試合が見たいですね。とにかくCS第1戦から激しい戦いになるのは間違いないでしょう。

与田剛(よだ・つよし)プロ野球解説・評論家

NTT東京を経て、89年にドラフト1位で中日ドラゴンズへ入団。1年目からリリーフで活躍し、新人王と最優秀救援投手に輝く。その後は故障に泣かされ、00年に現役引退。引退後は、NHKのサンデースポーツのキャスターや社会人野球、女子チームのコーチなどを経験。2009年、2013年のWBCでは日本代表の投手コーチを務めた。

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