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谷繁元信は、あと2試合でNPB記録を樹立 野球人生を賭けたベテラン打者たちの静かなる戦い【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、選手が積み重ねてきた通算成績についてだ。

2015/07/24

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キャリアレコードは「野球人生」をかけた戦い

3.終身打率

 終身打率3割は、打者にとって非常に大きな指標だとされる。藤村富美男、王貞治がバットを擱いたのは、これ以上現役を続けていると終身打率は3割を切ってしまうからだったとされる。

 4000打数以上で終身打率が3割を超えている選手は24人いる。

広尾様0724表4

 現役では4人。内川聖一は、右打者としてはブーマーに次ぐ高打率だ。今季も3割をクリア。32歳と働き盛りであるため、まだ終身打率を気にすることは少ないだろう。

 今年40歳になる小笠原道大は、中日に移籍してから代打の切り札として活躍。打数は少ないながらも今季は打率.325と高い打率を誇っている。小笠原も終身打率は安泰。むしろ今から少しでも挙げていこうという勢いだ。

 微妙なところにいるのが今年2000安打を記録した和田一浩。.276は43歳にしては高打率だが、それでもこの打率が続けば終身打率3割が厳しくなってくる。これから50安打を打つ間に227打数以上かけてしまうと3割を割るのだ。和田自身、この数字がそろそろ気になっているのではないか。

 アメリカ帰りの中島裕之は、内川聖一と誕生日が4日違いの同い年。これから数字が伸びてくる時だ。今季は打率.256とやや不振だが、今後どこまで打率を伸ばすことができるかが注目だ。

4.通算安打数

 2000安打を達成すると一般紙の一面で取り上げられる。打者にとっては最もこだわりたい記録だ。現役選手の安打数のランキング。

広尾様0724表5

 松井稼頭央は秒読み段階。松井が2000安打を達成すれば、アメリカ帰りの日本人選手では中村紀洋に続いて2人目だ。10月には40歳だが、今季もオールスターゲームに出るなど第一線でプレーしている。達成は「当確」だろう。

 微妙なのが谷佳知。あと74本に迫っているが今季はわずか3安打。42歳の年齢もあり苦しい。二塁打のシーズン記録を持つなどミート力抜群の好打者だが、出場機会が与えられるかどうかだ。

 新井貴浩は昨年阪神でわずか43安打。このペースでは2000安打は微妙かと思えたが、今季広島に復帰してからは中軸に座って大活躍。彼もオールスターゲームに出た。このペースで安打を積み重ねれば来年半ばにも大記録を達成しそうだ。

 この記録は「打撃力」に加えて「年齢」が大きな要素となる。ベテラン選手は現役での「残り時間」と競争しながら2000安打の大台を目指すことになる。井端以下、ずらっと並ぶベテランたちのうち、この記録を達成するのは何人いるだろうか。

 キャリア・レコードを頭に入れて試合を見れば、ベテラン選手の打席の見方が変わってくる。
 これからも「野球人生」をかけたベテランたちの活躍に注目したい。

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