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終盤に代打を出される捕手を「正捕手」とは呼ばない【里崎智也の里ズバッ! #03】

今季から野球解説者として各方面で活躍する里崎智也氏が、その経験に裏打ちされた自身の「捕手論」を語る新連載。第3回は、どのチームも頭を悩ませている正捕手の育成について。チームの勝利と必ずしも結びつかない、その難しさに独自の観点から切りこみます。

2015/05/22

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Olympics Day 12 - Baseball

正捕手の育成とチームの勝利は両立しない

 正捕手の不在──。これは、いま現在の12球団を見渡しても、ほとんどのチームに当てはまることだろう。僕のいたロッテでも、目下のところ、高卒3年目の田村龍弘と、大卒2年目の吉田裕太のふたりが争っているし、巨人や阪神、ソフトバンクにしたってそう。

 こと巨人においては、“阿部の後継者”と期待される小林誠司の固定を早々にあきらめ、ファーストにコンバートしたはずの阿部慎之助を復帰させたり、實松一成を使ったり、故障明けの相川亮二を即スタメンで起用したり……と、混沌とした状況が続いているのが実情だ。

 そうなれば、おそらくファンの方々は思うだろう。

「打撃や守備に多少は目をつぶってでも、なぜ腰を据えて育てようとしないか」と。

 もちろん、その将来性に期待して、安くないお金をかけて獲得してきた選手である以上、その成長を願わない首脳陣はひとりもいないし、彼らが主力としてチームを引っ張る存在にまで育ってくれることを誰もが望んではいるはずだ。

 だが、チームを指揮する監督には、それ以前に「勝たなければならない」という至上命令が存在するし、その「結果」いかんによっては、自身のクビが飛んでしまう可能性だって十分ある。

 ぶっちぎりで首位を独走するぐらいチーム状態がよいときであれば、育成に重きを置いた起用を優先させることもできるだろう。だが、そこまでの余裕がないシーズン序盤に、ことのほか「チームの勝利>正捕手の育成」となるのは、ある意味では、至極当然。

 それが、捕手が打てるかどうかで打線の重みが大きく変わってしまうDH制のないセリーグで、しかも“常勝軍団”であることが、なかば「義務」ともなっている巨人のような強いチームであればなおさら、監督が誰であろうと、より確実性の高い選択肢を選ばざるを得ないというのが、正直なところでもあるわけだ。

 つまり、裏を返せば、現在の巨人に阿部や相川といった選択肢がなくなるような事態が起これば、起用する側にも大義名分が立って、「小林ではダメだ」とは、誰も言わなくなるだろうし、目下、好調な西武がこのまま首位を独走するようなことにでもなれば、炭谷銀仁朗に代わって「捕手・森」という選択肢も、にわかに現実味を帯びてくるということ。

 それほどまでに「正捕手」の育成とチームの勝利とは、容易に両立し得ない難題なのである。

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