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新人記録更新、抑え・山崎康晃の起用で「僅差を制す」DeNA 球界の常識を覆す中畑采配

DeNAが両リーグ最速で20勝に到達した。データから顕著なのは僅差の試合をしっかりと逃げ切り、勝利に結びつけている点だ。つまり、抑えを含めて勝利の方程式が機能している証でもある。その成功を象徴するのが、ルーキーで開幕から抑えを任されている山崎だ。

2015/05/09

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ベースボールチャンネル編集部



これからをどう乗り切れるか?

 開幕ローテーション入りを争ったオープン戦では炎上が続き、先発投手失格の烙印を押されていた。周囲を驚かせた配置転換が、思わぬ形ではまった格好だ。

 最速151㎞の球威を誇り、変則的な落ち方をするナックルに1月の新人合同自主トレから注目が集まっていた。だが、山崎の一番の武器は右打者の内角にシュート気味に食い込んでいくツーシーム。高速シンカーのように、勢い良く、そして鋭く沈み込む。右打者の泣き所である膝元に消えて空振りを奪い、左打者は外角へ逃げる軌道にバットの芯を外される。

 中畑監督は、昨年も新人だった三上を抑えに抜てきして成功させた。
 2年連続でこの大事なスポットを新人に託すことは、勇気がいるだろう。球界の常識を覆す采配が、大成功を収めている。

 確かにデータが少ない新人選手を、短いイニングで攻略するのは至難の業とも言える。先発投手ならば1巡目は抑えられても、2巡目、3巡目と、その日の生のデータを生かして対策を練れる。わずか1イニング、打者3人で終わってしまう抑えでは、対戦に生かせるデータはここまでは少ない。

 真価が問われるのは、各球団対戦を重ねて、生のデータがそろってくるこれからだろう。新人選手にとっては、初めて経験する長いペナントレースで疲労を感じ始める時期でもある。
 フィリピン人の母を持つハーフの山崎は、初セーブを挙げたお立ち台でこう誓った。

「きょうの経験を生かして、小さな大魔神になります」。身長は1m77cmと、プロ野球選手では小柄な部類に入るが、マウンド度胸は満点。かつて対戦相手を戦慄させた往年の名クローザー・佐々木主浩の系譜を受け継ぐことができるか。

 逆に山崎が年間通して安定したパフォーマンスを発揮できるようだと、チームの戦いはグッと安定してくる。優勝争いや、目標とするクライマックスシリーズ進出のためには、大型連敗を避けたいところ。抑えがしっかりしてくれば、これまでお家芸だった大型連敗も減ってくる。

 三上、岡島らが戻ってくれば、山崎へつなぐブルペンの安定感も増してくる。ここ数年懸案だった中継ぎ投手陣が、逆に武器になろとしている。

 元来、野手の攻撃力や、先発投手陣の安定感には定評があった。足りなかったピースを、埋めて余りある存在。小さな大魔神・山崎を核として、DeNAは確かな強豪へと変貌を遂げつつある。

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