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「練習は嘘をつかない」新井貴浩が若手に示す、古き良きカープ魂

開幕スタートダッシュに失敗した広島。4番のエルドレッドやグスマンが故障で離脱し、現在4番を任されるのは、今季広島に復帰したベテラン・新井だ。その新井が結果を残している。38歳の活躍は、チームに何をもたらすのか。

2015/05/09

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自らの奮起が若手選手へのカンフル剤に

 パンクしたら元も子もないだろうに……。どうして、そこまで自分を追い込まなきゃいけないのか――。そういう疑問を覚えていたのは、きっと1人や2人ではあるまい。練習メニューがメジャーリーグのように簡素化されつつある現代の日本プロ野球界においてキャンプ中の新井の特守はとても異質であっただけに、他のカープナインの目にも「?」と映っていたようだ。しかし、この疑問の答えは開幕後にハッキリとした形で出た。

「練習は嘘をつかない」ということである。新井の4番&レギュラー奪取をまったく予想できなかった自身の眼力のなさを恥じたい。

 一方で、この38歳のベテランの活躍は広島のチーム全体への警鐘とも個人的には感じ取れる。新井は決して現状に満足しておらず、その理由として自らの奮起が他の若手たちへのカンフル剤となることを望んでいるような気がしてならないからだ。中でも伸び悩む堂林翔太に対しては、内心でフラストレーションが溜まりっ放しになっているのではないかと思わずにはいられない。

 それが証拠に昨年12月、新井は当時三塁のポジションを争う相手だった堂林について「自分が若い時に似ている。競争相手になるけれど、彼にとっても僕がいい刺激になればいい」とコメントしている。阪神を退団し、広島へ復帰したのはもちろん「もう一度勝負がしたかった」ことが最大の理由ではあるが、ここまで自分がずっと礎としてきた古き良きカープ魂を今の若い古巣の選手たちに伝授したいという気持ちがあったのは言うまでもない。その筆頭候補こそが、未来のカープを背負わなければいけない堂林なのである。

 キャンプにおける猛練習の末の活躍で大いに存在感を発揮しているベテラン・新井のカープ魂に刺激され、堂林が覚醒する日こそが低迷する広島の夜明けにつながる。

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