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予想外の主軸や投手陣の不調に苦しんだ巨人。”攻走守”にわたりチームを支えた鈴木、高橋由、井端らベテラン勢の貢献

セリーグのペナントレースもいよいよ大詰めを迎えた。優勝間近に迫った巨人。しかし、一方でこの時期まで優勝争いがもつれるとは予想していなかった方も多いのではないだろうか? 要因として、広島や夏場以降のDeNAの猛追など他球団が好調だったこと、そして何よりも巨人の中心選手の不振や不調があげられる。しかし、それでも6月8日から一度も首位の座を明け渡していない。一体、今年の巨人の強さはどこにあったのだろうか? キーワードは走攻守における「ベテラン」だ。

2014/09/25

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「唯一無二の存在」のスペシャリスト・鈴木

 9月に入ってから13勝5敗と怒涛の快進撃を見せる巨人のリーグ3連覇がいよいよ現実のものとなってきた。開幕前から巨人の優勝を予想する解説者が圧倒的に多かったことを考えれば、ある意味、順当な結果といえよう。しかし、ここまで苦しむとは誰が予想したことだろうか。
 
 阿部慎之助、村田修一をはじめとした主軸の調子が上がらず、チーム打率.255はリーグ最下位(9月21日現在)。投手陣もベテランの内海哲也が開幕から勝てない日が続き、西村健太朗、スコット・マシソン、山口鉄也のリリーフ陣も苦しんだ。
 
 さらに8月には、エース・菅野智之が右手中指の負傷により戦線離脱。一時はチーム総得点が総失点を下回るなど、投打ともに精彩を欠く試合が続いた。そんな「誤算」が生じたにも関わらず、6月8日から一度も首位の座を明け渡していない。一体、今年の巨人の強さはどこにあったのか?
 
 主力選手が苦しむ中、存在感を示したのが脇役たちだ。なかでも、〝足のスペシャリスト〟鈴木尚広の貢献度は計り知れない。
 
 たとえば4月5日の中日戦、2-2の同点で迎えた7回表の巨人の攻撃の時だ。この回先頭の井端弘和がヒットで出塁すると、原辰徳監督は代走に鈴木を送った。
 
 続く高橋由伸の内野ゴロで一死二塁となり、打席には村田修一。その3球目に鈴木は単独スチールを決め一死三塁の好機を作り出すと、村田が前進守備の内野手の頭上を越すヒットで1点をもぎ取った。もし、前進守備でなければ内野フライになっていた当たりだ。
 
 村田も「鈴木さんが三塁に行ってくれたおかげで楽に打席に入ることができた。二塁と三塁では全然違う」と鈴木の盗塁の大きさを語った。
 
 また、7月15日のヤクルト戦では延長12回裏の二死二塁から橋本到のライト前ヒットで二塁走者の鈴木が生還。外野手は極端な前進守備を敷いており、タイミングは完全にアウト。それでも鈴木は捕手のタッチをかいくぐりながら一瞬のタイミングで左手をベースに触れた。まさに「神の手」と呼ばれた走塁技術でチームに勝利をもたらしたのだ。
 
 今季、鈴木はここまで63試合に出場しているが、スタメンはわずか1試合で、あとは代走での出場が38試合、守備固めが22試合、代打が2試合。そんな中、鈴木は24得点を挙げている。つまり、代走で出た鈴木がいかに高い確率でホームを陥れているのかがわかる。
 特に試合終盤での1点差を争う展開での鈴木の足は、相手にとってどれだけ脅威となったことか。原辰徳監督が「唯一無二の存在」と言うのも頷ける。

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