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犠打数0の不思議 攻撃的2番・田中賢介を確立させた、開幕戦のバント失敗【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#2】

コラムニストのえのきどいちろう氏は、チームが日本ハムファイターズとなった1974年以来の生粋のファイターズファンだ。2015年シーズンの開幕にあわせ、ファイターズ愛あふれるコラムを定期連載でお届けしていく。

2015/04/16

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「業師」賢介のバントが下手になっていた!?

 それでも田中賢介は僕の知ってる賢介とはずいぶん変わっている。試合中継を見ていると実況アナが「バントをしない攻撃的2番」と賢介を紹介している。解説者とはイメージとしてはこんなやりとりになる。
 
「アメリカ球界から復帰の田中賢介です。開幕からここまでバントゼロ。いわゆるバントをしない2番打者ですね」
 
「そうですね、典型的な攻撃的2番です。栗山英樹監督が信奉する西鉄の名将・三原脩さんがかつて『流線型打線』の2番に豊田泰光さんを起用したのが最初でしょう」
 
 だけど、これは事実と異なるのだ。田中賢介は確かに今季、バント数ゼロではあるけれど、それは「成功したバント数ゼロ」ということで、あくまで記録上の話だ。
 
 僕は開幕戦(3月27日、楽天戦)で賢介が送りバントを続けて二度失敗したシーンが分水嶺だったのじゃないかとにらんでいる。それがへっぴり腰でめっちゃ下手くそだったのだ。言っておくが賢介は07年にパリーグ記録(当時)の58犠打を達成した「業師」だ。それがあんなに下手になってるなんて…、アメリカではぜんぜんバントなんか求められなかったんだなぁと感じ入った。
 
 栗山監督は開幕戦を最後にいっぺんもバントのサインを出していない。あのへっぴり腰を見たら出せないだろう。で、面白いことにそれが逆に「攻撃的2番」を確立させ、打線に勢いをもたらす結果になる。野球は面白い。
 
 僕は開幕戦のバント失敗がこの3週の最重要シーンだったと見る。
 
大谷&中田で華のある「平成のON砲」誕生 アベック弾にウキウキ感が止まらない!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#3】
 
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えのきど写真・顔丸

えのきどいちろう
コラムニスト。1959年、秋田市生まれ。中央大学経済学部卒。在学中の1980年、『宝島』にて商業誌デビュー、以後フリー。朝日新聞、読売新聞、『サンデー毎日』、『週刊文春』等々、膨大な数の紙誌に連載を持つ。またラジオのパーソナリティーとして文化放送、TBSラジオに出演。球団創設以来のファンターズファンとして知られ、北海道新聞に連載「がんばれファイターズ!」を持つ。野球関係の著書に『F党宣言!』(河出書房新社)

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