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「谷繁監督に恥をかかせられない」ドラゴンズ・大野、エース覚醒の予感

ドラゴンズが開幕ダッシュに成功した。2試合連続のサヨナラ負けという流れを断ち切ったのは大野だった。エース覚醒の予感だ。

2015/04/09

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1年前のリベンジ、結果を出した大野

 中日ドラゴンズが絶好調だ。
 巨人戦、広島戦と続けて3タテをくらわせて7連勝。ヤクルトに負けて連勝はストップしたが、現在セ・リーグの首位を走っている。
 シーズン序盤であり、順位のことを持ち出すのはまだ早い。
 それでも2試合連続サヨナラ負けを含む開幕3連敗から、よくこの立て直したと言っていいだろう。

 快進撃の要因はたくさんある。
 防御率1点台の先発陣に、実力と実績を兼ね備えた中継ぎ陣、長距離砲として開花しつつある福田永将や積極的なプレーでチームを盛り上げる亀澤恭平ら新戦力の活躍、“男気”黒田博樹に投げ勝った“トライアウト”八木智哉の快投、代打の切り札・小笠原道大の神がかり的な活躍、ベンチに飾られたふぐ提灯など……。

 なかでも多くのドラゴンズファンが歓喜に沸いたのが、4月7日ヤクルト戦での大野雄大の完封勝利だ。

 ドラゴンズが苦手とする鬼門・神宮球場。そして相手は強力ヤクルト打線。
 しかし、大野は臆することなく140キロ台のストレートとシュート、フォークを巧みに投げ分け、凡打の山を築いた。
 気温も低く、天候も悪い。さらにリードは1点のみ。
 この状況の中で、最後まで1人で投げ抜いたのも賞賛に値する。
 そう、これぞエースという投球だった。

 思えば吉見一起の戦線離脱、チェン・ウェインの退団以降、ドラゴンズには絶対的なエースが不在だった。
 エースの不在がそのままチームの低迷につながっていたとも言えるだろう。
 だからこそ、ドラフト1位左腕である大野の覚醒はチームもファンも待ち望んでいた。
期待はされているし、ポテンシャルは間違いなくある。

 だが、どうしても「10勝10敗」で終わってしまう、貯金が作れないピッチャーという印象がつきまとっていた。
 田中将大、前田健太ら「ハンカチ世代」の中では目立たない存在であり、本人が熱望していた侍ジャパンにも選出されなかった。
 谷繁元信監督兼選手も、昨年1年はことさらキツい指導を続けてきたという。

 大野には、神宮球場でのヤクルト戦の強烈な苦い思い出がある。
 たった1年前の4月26日。立ち上がりからいきなり5失点の大炎上。わずか1回での降板どころか、即刻2軍落ち。
 さらに、谷繁監督をはじめとする首脳陣の怒りを買った大野は、試合途中に名古屋への強制送還を命じられたのだ。
 しかし、そんな苦い記憶は自分の左腕で断ち切ってみせた。

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