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黒田博樹と松坂大輔、明暗を分けたMLB復帰投手の「今」を分析する【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、松坂大輔と黒田博樹についてだ。

2015/03/29

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ベースボールチャンネル編集部

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MLBで進化した黒田は、その力を保持したままNPBへ復帰

 いよいよNPBが開幕した。今年も話題は尽きない。個別の選手の話題では、何といってもMLBから復帰した二人の投手、黒田博樹と松坂大輔だろう。

 黒田博樹は広島時代から頼れるエース、MLBに移籍してもドジャース、ヤンキースという人気球団で投げ、先発投手として責任を十分に果たした。
 昨年もヤンキースでは唯一規定投球回数に達し10勝を挙げた。当然、高額の年俸でMLBに残留するものと思われていたが、最終的に広島と契約し、7年ぶりに古巣の広島に復帰した。

 松坂大輔は、「松坂世代」という言葉を生んだくらいの一時代を画する投手。MLBへポスティングシステムで移籍した。総額5000万ドルを超える巨額の契約だった。レッドソックスという人気球団に入り、2年目にはサイ・ヤング賞候補になるなど活躍した。
 しかし次第に成績は下落し、2011年にはトミー・ジョン手術を受ける。以後、インディアンス(MLBでの出場なし)、メッツとチームを渡り歩き、8年ぶりにNPBに復帰した。

 二人ともオープン戦に登板したが、その成績は明暗を分けている。今回は投手の「精度」の指標をいくつか見ながら、二人の投手がMLBでどのように変貌したか、そしてNPBにどんな状態で復帰したのかを見てみたい。

 まず、黒田博樹。MLB移籍前年、MLB1年目、MLB1球団目の最終年、MLB最終年、そして今年のオープン戦の成績を同じ指標でみる。

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 先に各項目について説明したい。
・「NP/IP」は、1イニングあたり何球投げたか。数値的には15が目安。少ないほうが良い。
・「NP/PA」は、1人の打者に何球投げたか。3.5が目安となる。少ないほうが良い。
・「BB9」は、9回あたりの与四球数。3以下が望ましい。少ないほうが良い。
・「SO9」は、9回あたりの奪三振数。6.5が標準的。多いほうが良い。
・WHIPは、1回あたりの走者(被安打、与四球)数。先発投手の場合1.3以下が望ましい。少ないほうが良い。
・SO/BBは、三振数を四球数で割った数値。2以下だと苦しい。多いほうが良い。
・AVGは被打率。リーグ平均は.250前後。少ないほうが良い。

 表を見ると、MLB移籍直前の黒田は、制球力に優れていたものの、ほぼ平均的な数字。ただし被打率は高かった。
 MLBに移籍してからは、NP/IP、NP/PAの数値が上がっている。強打でしかも選球眼のあるMLB打者を打ち取るのに苦労していたのだ。

 しかしNP/PA=1人あたりの投球数は増えても、四球は増えなかった。球数は増えても歩かせることは少なかったのだ。
 そしてSO9は、徐々に増加していく。今や黒田の代名詞となったツーシーム(MLB公式サイトではシンカー)やスプリットを駆使し、三振が奪える投手になったのだ。

 被打率はリーグ平均よりやや多い。これは、黒田が打者を圧倒するタイプではないことを示している。安打を打たれ、塁上に走者を背負うことが多い。しかし、後続を打ち取って“しのぐ”投手だったのだ。
 黒田はMLBの強打者を相手にして「耐える投球術」を磨いた。そして「試合を作る」投手として信頼を得た。
 この春のオープン戦では素晴らしい成績を残した。数字を見ても、黒田の仕上がりは万全であることを示している。
 少ない登板数の数値ではあるものの、NP/IP、NP/PAの数値が大幅に向上している。MLBで培った、球数をおさえて効率よく打ち取る投球術は、NPBでも健在だ。

 数字を見る限り、明らかに黒田はMLBで進化した。そしてMLBの一線級の投手としての力を保持したままNPBに復帰したのだ。40歳という年齢は、この際、問題ではないだろう。

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