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92年の優勝の再現も? ヤクルト浮上のカギを握る投手陣、そして『復活劇』【新・燕軍戦記#1】

真中満新監督を迎え、2年連続最下位からの巻き返し、そして2001年以来のリーグ優勝も視野に入れている東京ヤクルトスワローズ。今年は親会社のヤクルト本社にとって創業80周年という節目の年でもあり、オフには積極的な補強に動くなどそこかしこに『本気度』がうかがえるが、14年ぶりの優勝を目指す上でカギになるものとは……。

2015/03/26

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ベースボールチャンネル編集部



14年ぶりVへ向けて……由規、館山の『復活劇』はあるか

 もっとも石山、杉浦は開幕から先発ローテーションに入るのは今年が初めてであり、長いペナントレースをどこまで乗り切ることができるかは未知数。その他の投手にしても故障だったり、昨年の小川のように試合中に打球直撃という思わぬアクシデントに見舞われる可能性だってある。
 
 そこで『隠し玉』となるのが、由規(26歳)と館山昌平(34歳)だ。由規は2013年4月に右肩のクリーニング手術を受けるなど過去3年は一軍での登板がないが、昨年6月にファームで実戦マウンドに上がってからは一歩一歩、復活への道を歩んでいる。館山は昨季は2年連続の右ヒジじん帯再建手術でシーズンを棒に振っているだけに、慎重にリハビリを進めながらも「今年こそマウンドに」という思いで取り組んでいる。
 
 思えば1978年の球団初優勝以来、リーグ制覇から遠ざかっていたスワローズが14年ぶりの優勝を成し遂げた1992年は、投手の『復活劇』に大きな後押しを受けていた。右ヒジの手術で2年間一軍登板のなかった高野光が、4月7日の中日戦(ナゴヤ)で涙の復活勝利。右肩手術もあってそれまで2年間、白星から遠ざかっていた伊東昭光(現ヤクルト二軍監督)は、7勝1セーブでカムバック賞に輝いた。
 
 そして何よりも大きかったのはチームが苦境に陥った9月下旬、荒木大輔が右ヒジじん帯断裂と椎間板ヘルニアを乗り越えて、4シーズンぶりに一軍マウンドに帰ってきたことだ。当時の野村克也監督が「荒木効果」と呼んだこの復活劇が、勝負どころでモノを言った。リーグ優勝を決めた10月10日の阪神戦(甲子園)、先発して勝利投手になったのが荒木なら、最後を締めて胴上げ投手になったのは伊東であった。
 
 奇しくも今のヤクルトは、当時と同じく13年間優勝から遠ざかっている。14年ぶりの優勝を決める大一番で、荒木と同じ11番を背負った由規が先発マウンドに上がり、当時の伊東と同じく過去2年間白星のなかった館山が最後を締めくくる──。今の時点ではあくまで妄想に過ぎないが、もしそんなシーンが実現すれば1992年の優勝にも引けをとらない感動的なシナリオとなるはずだ。
 
 現状で投手陣に不安があるとすれば、トニー・バーネット(32歳)が務める抑えということになるだろう。ここ2年はケガにも泣かされて精彩を欠いたバーネットだが、12年には最多セーブに輝くなどポテンシャルは十分に持っている。そういう意味では彼の『復活』にも期待したいところだ。
 
※文中( )の年齢は、いずれも2015年中に迎える満年齢。
 
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