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北海道日本ハム・栗山監督が語る “渋沢栄一”流、理想の選手像・チーム作りとは

昭和時代の経済の基礎を創った人物・渋沢栄一の考えをチーム作りや選手育成に活かしているという北海道日本ハム・栗山監督。歴史上の人物の哲学がどのように「野球」にも通ずるのだろうか?

2015/02/15

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自分のためではなく、誰かに喜んでもらうことが原動力になるチームに

 田中氏は、栗山監督自身も、視野の広さや、情熱と知性を併せ持っているという点、様々な立場でのキャリアを積んでいる点が渋沢栄一と共通していると感じているそうだ。その栗山監督も、チーム作りにおいて渋沢栄一の考えが活かされることもあるという。
 
栗山監督「『論語と算盤』を読んで、論語で経営ができるなら論語で野球が出来るのではと思いました。この考えを野球に置き換えたらどうなるだろうということは、よくやっていますね。監督をやっていなければこういう考えには行き着かなかったかなと思います。監督になってから、歴史系の本ばっかり読んでいるんですよ。論語の教えでも正しいことは昔から変わらないということがあるじゃないですか。正しいことは普遍で、全然変わらないなと。出来ればそういう触れ方を選手にもしてほしいですね」
 
 渋沢栄一の哲学の中で、特に栗山監督自身が大切にしているのはどのような点だろうか。
 
栗山監督「渋沢栄一は私心がないことが原動力ですよね。監督も選手のため、選手の家族のため、スタッフのためという存在です。私はそんなに大きな存在じゃないですけど、これまで世の中を変えて来た人の大きな共通点はやっぱり”自分のためにやっていない”ことですよね。渋沢栄一のよう自分の私欲だけで動かない、人のために尽くして多くのことをやり遂げたという、我々が進むべき道を歩んでくれた人生の先輩がいたというのは、僕にとっては非常に大きな影響を与えてくれたし、こういう野球観がいいなと思わせてくれる考えに出会えたというのは大きかったです。
 最初はみんな自分のためにプレーするんですけれど、何かの拍子に自分を離れて、家族のため、チームのためにやる、誰かに喜んでもらうというのが原動力になる。その成熟によって周りがより応援してくれるようにもなるのでね。ファイターズの野球がそういう野球だよねと言ってもらえるようになればいいなと思いますね」
 
 渋沢栄一を入り口に、栗山監督の求める選手像や理想とするチームの輪郭が垣間見えた今回の対談。栗山監督や選手達、それぞれがチームに尽くすことで勝利を目指す。今シーズンはそんな観点からファイターズの戦いに注目してみてはいかがだろうか。

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