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山本昌とキングカズ~野球界とサッカー界のレジェンドが持つ少年の心~

日本球界におけるさまざまな史上最年長記録を持つ、中日の山本昌投手が2015年シーズンに50歳を迎える。これだけ長く現役を続けられる要因はどこにあるのか。同じくサッカー界の最年長プレーヤーとして知られる三浦知良選手との共通点を探りながら、その要因に迫った。

2015/02/04

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ベテランになっても新しいものを取り入れる

「キャッチボールやウエイトトレーニングなどの地味な練習を続けるのは得意」
 
 山本は、かつての取材でこう語っている。それは趣味に置き換えたとしても、きっと同じに違いない。ラジコンならマシンの手入れ、ドラクエなら地道なレベルアップ、クワガタの場合は餌やりなどの毎日の世話。興味のない者からすれば、退屈に感じてしまう地味な作業が少しも苦にならない。
 
 これは、カズも同様だ。サッカー界のレジェンドが日々取り組むトレーニングの強度は、極めて高いことで知られている。ときには10代や20代の若手選手が、先に根を上げることもあるという。それだけ過酷な練習を、50歳を目前にしても地道に続けることができる。
 
 もうひとつ、少年特有の心のあり方である“負けず嫌い”も、大きく影響しているように思えてならない。
 
 子どもは負けることや、できないことに対して極端に悔しがり、ときには周囲が驚くほど泣いたりもする。カズは、つい1年ほど前まで泳げなかったというが、そのことを悔しく感じたサッカー界の伝説的選手は水泳のトレーニングを積み、40代後半にして初めて泳げるようになった。
 
 普段の練習やゲームにおいても、自身のプレーについて監督やコーチだけでなく、若手選手にもアドバイスを求めることがあるという。こうした意見に真摯に耳を傾けられる“素直さ”も少年特有といえるのではないだろうか。
 
 山本も、普通の選手ならキャリアの後半や晩年に差し掛かる30代から新たなトレーニングに取り組んだ。関節の可動域の拡充や反射神経を向上させるための練習。さらには、若手にも負けないほどの走り込みを続け、40代に入ってから自己最速となる143キロをマークした。
 
 人間、年齢を重ねれば、他人の意見には耳を貸さなくなるもの。しかし、レジェントたちは少年のような柔軟な頭脳と心で、自分自身の肉体と精神を磨き上げ続けてきた。

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