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球春到来! 黒田、松坂、中島、田中……米国からNPBへ復帰した4選手の今季を占う【小宮山悟の眼】

今季は、米国から日本に復帰する選手が多い。異国の地で積んだ経験は、チームにとって大きなプラスとなるはずだ。彼らの加入によって、今季のペナントシリーズは一層面白いものになるだろう。小宮山悟氏にとって、彼らはどのように映っているのだろうか。

2015/02/01

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力が十分あるタイミングで、カープに復帰した黒田

 今季は、米国球界から注目選手が何人もNPB復帰を果たしており、ファンの関心も高まっている。広島・黒田博樹。ソフトバンク・松坂大輔。オリックス・中島裕之。日本ハム・田中賢介。もちろん、各選手が日本復帰を決断した経緯や、抱える事情はさまざまだ。そこで今回は、その決断に至った背景に触れながら、それぞれの今季を占ってみたい。
 
 まず黒田は、ご存じのように米国球界から高評価を受け、条件だけを聞けば「このまま米国でプレーしたほうが幸せなのでは?」と思うような状況で、カープ復帰を決断した。20億円とも言われるオファーを蹴ったことが、「男気の決断」としてメディアを賑わせている。確かに「お金ではない」という選択は、すごいことだとも思う。だが、本当に称賛されるべきは、そんな金額の多寡ではなく、「最後はカープで」と思い続けていた、その心根のほうだろう。
 
 個人的なことを言えば、もう1年MLBでプレーしてほしかったという思いが強い。デトロイト・タイガースから白星を挙げ、メジャーでも過去13投手しか達成したことのない全30球団勝利の大記録に挑戦してもらいたかった。ただ、そんな記録を棒に振ってまでも、黒田はカープ復帰にこだわったのだ。
 
 それは、彼の胸の内に「今季がラストイヤー」の思いが去来しているからではないだろうか。私を含め、周囲には力の衰えなど微塵も感じられないし、実際に20億円のオファーも届いている。ただ本人にしか感じられないような何か――それが、3シーズン続けた200回以上の登板回数が、昨シーズンは199回で終わってしまったことなのか、投球中の微妙な感覚なのか、それとも登板後の疲れの抜け方なのか、定かではないが――その何かを予兆として感じ取っているのではないだろうか。
 
 カープのユニフォームに袖を通すということは、彼にとって、単にファンヘユニフォーム姿を披露することではなく、マウンド上で活躍することを指す。20億円の年俸でプレーして、力の衰えを隠せなくなってからカープに復帰しても、意味がないのだろう。
 
 もちろん、今季活躍すれば「また来季も」となり、もう1年、もう1年と現役生活は伸びていくのかもしれないが、「今季がラストイヤー」の強い思いを抱いて黒田が広島に復帰したことだけは間違いない。
 
 メディアでは、黒田と前田健太のどちらが開幕投手になるのか注目されている。実に些末な問題だ。広島のエースはマエケンであり、黒田はそれを超越する存在。どちらが務めようと構わない。
 
 投手の勝敗は、打線との兼ね合いがあるのではっきりした数字は上げにくい。しかし、故障さえしなければ黒田が活躍することだけは確かだ。彼はそのために、このタイミングでカープ復帰を決断したのだ。

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