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元助っ人から現役選手まで……日本と縁の深いウインターリーグ

北半球の冬季に、ベネズエラ、ドミニカ、メキシコ、プエルトリコなどの南半球では「ウインターリーグ」が開催される。日本球界で活躍した元助っ人だけでなく、来シーズンを見据えた武者修行として日本のプロ野球選手も参加する。

2015/01/18

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Satoshi Asa



ドミニカで活躍する元助っ人たち

 ベネズエラと並んで、カリブ最強と言われているのが、登録選手の6割が3A以上でプレーしているというドミニカだ。レベルでは日本と同等、パワーの点でははるかに日本を凌ぐこのリーグで武者修行をしたのが、中日の又吉克樹だ。
 12月半ばまでの在籍だったが17試合に投げ、防御率1.69と抜群の安定感を示し、日本でのシーズン同様、中継ぎエースとして活躍した。昨年、ルーキーながら67試合に登板した疲れも感じさせないマウンドさばきで、ドミニカで自己最高球速を更新したというから驚きだ。
 
 その又吉の所属するリセイ・タイガースには、実に8人の日本野球経験者がいる。そのひとりがアルフレッド・フィガロだ。オリックスが将来性を買って2011年に獲得した右腕も、契約がこじれて2年で退団、昨年、メジャーでは6試合で勝ち星なしで、シーズンの大半を3Aで暮らした。今年は韓国の名門、サムソン・ライオンズと契約し、アジア球界に帰ってくる。彼の他、元中日の投手、ワーナー・マドリガルも台湾の統一ライオンズでアジアに戻ってくる。
 野手陣に目を移すと、昨季オリックスに移籍して、アグレッシブな走塁でチームを引っ張ったエステバン・ヘルマンがトロス(通称アズカレロス)でプレーしている。成績は.222とパッとしないが、各国のサマーリーグでレギュラーとしてプレーした選手は、ウインターリーグをあくまで調整の場としてしか利用していないので、そういう選手の成績は、往々にしてこんなものだ。12試合という出場数にもこのことは表れている。ウインターリーグの魅力は、あくまでメジャーまであと一歩の有望株や、次の契約を探している「就活」中選手の全力プレーにある。
  
 両リーグを抑えて、カリビアンシリーズ2連覇を成し遂げているのが、メキシカンパシフィックリーグだ。従来、MLBから独立したサマーリーグ、メキシカンリーグがあるため、メジャーへの選手流出が他のラテンアメリカ諸国ほど多くなく、それゆえ、カリビアンシリーズでもメジャー組の多い他の3カ国の後塵を拝することが多かった。大半がメキシカンリーグの選手というロースター構成は変わらないものの、近年は力をつけてきている。 ここでは、2004年、球界再編騒動の中、来日した元近鉄のマリオ・バルデスや元巨人のエドガー・ゴンザレスがいまだ健在だ。また、日本で一旗揚げようと、2012年にルートインBCリーグでプレーしたドミニカ人、サンディー・マデラは、昨シーズン、サマーリーグで4割を打ち首位打者に輝いている。石川ミリオンスターズ時代は、「助っ人」として日本でプレーするにはいまいちパワー不足の感が否めなかったが、メキシカンリーグでは26本のホームランを打った。

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