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元助っ人から現役選手まで……日本と縁の深いウインターリーグ

北半球の冬季に、ベネズエラ、ドミニカ、メキシコ、プエルトリコなどの南半球では「ウインターリーグ」が開催される。日本球界で活躍した元助っ人だけでなく、来シーズンを見据えた武者修行として日本のプロ野球選手も参加する。

2015/01/18

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Satoshi Asa



↑2010年、広島でプレーしたジャスティン・ヒューバーは、今季もオーストラリアンリーグでプレー

ウインターリーグに参加した18人の日本人選手

 この季節、野球ファンなら「ウインターリーグ」という言葉をよく目にすることだろう。北半球の冬季に、熱帯地域や南半球で行われる短期のプロリーグを指す言葉がこれだ。今シーズンは、8カ国で11リーグが開催された。
 
 このうち最高レベルを誇るのが、ベネズエラ、ドミニカ、メキシコ、プエルトリコのカリビアンリーグだ。この4大リーグは、1月いっぱいでシーズンを終えると、各々のチャンピオンがカリビアンシリーズで覇を競う。昨年からはキューバもこれに招いているが、メジャーリーガーも多く名を連ねるこの大会では、もはや「アマチュアの雄」は通用しない感があり、キューバ革命以来の参加となった前回大会では、1勝しか挙げることができず、最下位に終わった。
 
 レベルの観点から、このシリーズに参加できないコロンビア、ニカラグア、パナマが、メキシコの地方リーグ、ベラクルス・リーグを加えて行っているのがラテンアメリカシリーズで、昨年はカリビアン、ラテンアメリカの両シリーズともメキシコが制するという「メキシコの時代」を感じさせる結果となった。
 
 これらのリーグには、それぞれの自国選手だけでなく多数の外国人選手も参加している。今シーズン、各国のウインターリーグに参加した選手は約2500人。この内、600人弱が国外からの参加者である。彼らがオフの間まで外国にプレーしに行く理由は様々だ。マイナーでの少ない給料を補うため、より上位のレベルでプレーするためのトレーニング、球団からクビを言い渡されための「就活」目的……。
 
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 ウインターリーグの参加者の中で、独立リーグを含む日本のプロ野球でプレーした関わりのある者は、実に56人。日本人は18人だ。日本人選手のうち、11人は日本のプロ球団から「野球留学生」として派遣された者で、残りの7人はプレー継続やステップアップのために、ウインターリーグへ武者修行に来ていた。

鴎のサブマリン奮闘中。村田透はメジャーを目指してアピール中

 国別に見てみると、一番注目度が高いのが、ベネズエラだろう。
 かつてのロッテのエース、渡辺俊介が、名門カラカスのユニフォームに袖を通していた。昨年はメジャーに挑戦するも、キャンプの時点でリリースとなり、アメリカ独立リーグの最高峰、アトランティックリーグで8勝2敗の成績を残した。ウインターリーグでは、先発6試合で1勝1敗、防御率2.91、クォリティスタートとされる6回まで投げたのは最後の2試合だけ、ラインナップのほとんどはメジャーリーガーが居並ぶこのリーグでの結果を見ると、今年もメジャーへの道のりは険しい。
 
 もうひとり。かつてのドラ1・村田透も、5試合で勝ち星なしの3敗と数字的には苦しい。しかし彼の場合、巨人退団後、インディアンズのマイナーで4年プレーし、着実に階段を上っている。
 昨シーズンは、ローテンション投手として2A、3Aで合わせて10勝を挙げ、ベネズエラでもプレーオフの先発を任されるなど、数字はともかく、内容は評価されているようだ。今年は、日本人メジャーリーガーの誕生はないのではと言われているが、この村田はダークホース的存在と言っていいだろう。
 
 日本人投手2人以外で見逃してはならないのが、アレックス・カブレラだ。
 日本での活躍は今さら言うまでもない。ソフトバンクを2012年に退団した後、ウインターリーグに復帰するも、敵チームの捕手を務めていた息子の目の前でホームランを打つと、その場であっさり引退してしまった。と思ったら、翌シーズンも素知らぬ顔で戻ってきて、42歳にして本塁打のリーグ新記録というおまけ付きの三冠王に輝いた。しかし、好事魔多し、余勢を駆って復帰したメキシカンリーグで薬物使用が発覚してしまい、永久追放を宣告されてしまう。
 それでも、母国では何食わぬ顔でプレーしている。
 メキシコの件も調査は途中で中断、処分も解除されたというから、今年の夏もどこかの国でどでかいホームランをかっ飛ばすかもしれない。
 
 このほか、45歳を迎える元オリックスのロバート・ペレスもまだここではプレーしている。また、渡辺と同じカラカスで中継ぎとして14試合に登板した元阪神のダーウィン・クビアンなど、この国には、夏はイタリアリーグでプレーする選手が多い。

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