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選手育成型チーム作りに、さらなる進化を――ホークスファンが工藤監督に望む〝生え抜き〟キャッチャーの育成

昨年11月に工藤新監督の就任を発表したホークス。秋山前監督と同様、元選手としてリーグ優勝と日本一に貢献し、常勝チームの礎を築いた人物の一人なだけに期待も大きい。地元ファンは工藤監督に何を求めているのか。年末年始に、ファンの本音を探ってみた。

2015/01/13

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ただ勝つだけでは福岡のファンは満足しない

 年末年始の帰省中、バイト時代の友人と食事会があったので工藤監督に期待していることをたずねてみた。その中でスポーツ好きの一人のホークスファンがこんな注文をつけた。
 
「去年は約30億円かけて補強した。リーグ制覇も日本一も達成できたから問題にはならんかったけど、もし負けとったら球団には相当な不満が溜まっとったやろうね。だって、最近はお金の使い方がセリーグのどこぞやの球団みたいやもん。やっぱり、生え抜きや地元出身の選手を長い目を持って使ってほしい。工藤さんには、そこらへんのファンの気持ちもくんでほしか」
 
 ソフトバンクが親会社になって10年が過ぎた。その間、Bクラスを経験したのは2度。経済的なバックアップを受け、常勝軍団の仲間入りを果たした。ただ一方で、チーム作りには厳しい目が向けられている。
 
「それとさ、高いお金を積んで松坂を獲ったばってん、大丈夫なんやろか……」
 
 ドラフトを含め、九州に縁のない選手の獲得をするとき、福岡のファンは懐疑的に見ている。その理由はただ一つ。生え抜きや地元出身選手の出場機会が減ってしまうからだ。
 
 そもそも球団改革として、ダイエー時代に根本・王体制が出した答えが〝地元密着型〟のチーム作りだった。福岡をはじめ、九州に根付き愛される球団を作るためには、生え抜きや地元出身選手を育てて勝つことが大切だと考え、粘り強くチームの礎を築き上げていった。
 
 その象徴が小久保や城島、松中らであり、いずれは彼らがホークスのDNAになると想定して改革を行ったからこそ、〝いま〟がある。その変革期に、工藤監督は選手としてチーム改革の一部を担っていた。だから、ファンも要求に力が入る。その食事会で生粋のホークスファンである別の友人がこう言っていた。
 
「正直、まだキャンプもスタートしとらんし、シーズンが始まらんと評価を下すのは難しかですね。でも、選手時代に城島を日本一のキャッチャーに育てて、若手に自らの投球理論を惜しみなく伝えながら柱となるピッチャーを育成したことを知っとるけん、期待はしとります。工藤さんはチーム作りのノウハウを持っとるはずやから」
 
 今シーズンの目標は〝リーグ&日本一連覇〟だが、ファンの一番の望みは強いホークスの長期政権だ。それには王、秋山と継承してきた選手育成型の一貫したチーム作りの進化が必要不可欠。ホークスのDNAを継承する工藤新監督がどんな手腕を見せてくれるのかが本当に楽しみだ。

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