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頑固さに支えられた芯の強さ 斎藤佑樹よ、今は「もがけるだけもがけ」【小宮山悟の眼】

千葉ロッテ、さらにはニューヨーク・メッツでプレーし、現在プロ野球解説者・評論家の小宮山悟氏の連載。さまざまな球界のニュースや動きに対して、小宮山氏の眼にはどう映るのか? 新しい野球のミカタをファンの皆さんに提示していきたい。新年一発目は、期待も込めて、自身の大学の後輩でもある北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹についてだ。

2015/01/10

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今は、もがけるだけもがけ

 手前味噌になるかもしれないが、我が母校は各界に優秀なOBを多数輩出している大学だ。その中でも運動部は特別な存在であり、特に野球部は象徴的な位置づけにある。
 
 たとえば、私はラグビー部の清宮克幸氏と同学年だが、多くの早稲田OBは実社会で「どの世代?」と質問された時、「清宮と一緒だった」ではなく「小宮山と同じ卒業です」と答えるそうだ。つまり、野球部の中心選手は、その学年のすべての学生の基準になる。早稲田大学の関係者以外にはピンとこない話かもしれないが、それほど早稲田野球部というのは大きな存在なのだ。
 
 だからこそ、そういうシンボリックな存在が、「卒業後、10年20年経ったら見る影もない」では済まされない。特に斎藤の場合は、1年生からエースとして活躍したので、同学年のほか、前後3年を合わせた7学年分のプライドを背負うことになる。
 多くのOBが、「斎藤が○年生の時の△年生です」と自分を表現するのだから、その重さたるや半端ではない。
 
 斎藤は非常に頑固な性格だ。柔軟性にはやや欠けるが、その分、その頑固さに支えられた芯の強さを併せ持っている。
 ハンカチ世代と呼ばれる覚悟。
 早稲田野球部OBのプライド。
 彼の背負うものは大きいが、そういったプレッシャーを跳ね返せる準備ができるだけの逸材だと思う。
 
 今は、もがけるだけもがけ。
 頑固な斎藤が「今やるべき努力をしています」と胸を張って言うのなら、早稲田野球部の先輩としては、ただ「頑張れ」と願うだけである。

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小宮山悟(こみやま・さとる)

1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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