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巨人移籍の山口俊、プロ野球生活11年の紆余曲折。番長が「やっとわかったか」と叱りつづけてきた理由

巨人は5日、FA宣言して合意に達していた前DeNAの山口俊の入団発表会見を行った。賛否両論、たくさんの声が飛ぶが、果たして、山口は期待に応えることができるのだろうか。

2016/12/06

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使いきれていないポテンシャル

 巨人からしてみても、言葉は悪いが仮に山口が額面通りの活躍ができなかったとしても、今シーズン同様上位争いをするであろうDeNAからエース級の戦力を間引くことができただけでも価値あることなのではないだろうか。

 現在においても使い切れているとは思えない、そのポテンシャル。思わぬタイミングで四球を連発して、自爆してしまう危うさ。関係者やファンの期待値が高いからこそ、ダメだったときの反動が大きく、反感を買ってしまうこともある。

 何度かインタビューをさせてもらったことがあったが話せば朴訥で実直。一生懸命、質問には答えてくれる。繊細さを持ち合わせているわりには言葉選びがあまり得意な選手ではないので誤解を受けることも多々あるが、心根の優しさは伝わってきた。だからこそ今回の選択は、いろいろと思うところがある。

 2年半ほど前、今シーズンで現役を退いた三浦大輔に訊いた山口の話が、今でも妙に印象に残っている。

「僕がベイスターズの選手の中で一番怒ってきたのが山口なんです。先発や抑えをやっていく過程でしかって、へこんだりしていたんですけど、去年(2014年)の春先にファームに落ちてきたときボロボロで『やっとわかったか』って話をしたんです。それまで何回怒っても、ちょっと調子が良くなるとフワッとしてしまうところがあった。けどファームに落ちてきたときはどん底で、だいぶ心を入れ替え後半活躍することができました。元々それぐらいポテンシャルは他の選手と違うんです」

 古巣に向けては「今年はラミレス監督、投手コーチの方が信頼して使ってもらい結果が出たと思うので、感謝しかない。自分自身が結果を出すことが恩返しになると思います。読売さんの力になれるようにやっていくだけです」と、すでに冷静に切り替えたコメントを残している。

 伸び伸びとプレーし、エースとして君臨できたであろうDeNAをあとにして、プロ野球界で最もプレッシャーがかかる巨人という球団で、果たして山口は輝くことはできるのか――賽は投げられた。

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