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巨人移籍の山口俊、プロ野球生活11年の紆余曲折。番長が「やっとわかったか」と叱りつづけてきた理由

巨人は5日、FA宣言して合意に達していた前DeNAの山口俊の入団発表会見を行った。賛否両論、たくさんの声が飛ぶが、果たして、山口は期待に応えることができるのだろうか。

2016/12/06

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先発へ再度配置転換で活路

 当時のことを山口は以下のように振り返る。

「自分の中に『理想の抑え像』みたいなものがあって、それを追い続けてしまい自分を見失ってしまったんです。先発への転向を言われたときは無我夢中でした。もし結果が出なければ野球人生が終わらないにしろ、何かしらの状況になっていたと思うんです。だから本当に転機というか、自分の中では生まれ変わったようなタイミングでしたね」
 
 もしかしたら終わっていたかもしれないプロ野球人生――しかし山口は先発投手として適性を見せることで復活。この年は17試合に先発し8勝5敗、防御率2.90に加え月間MVPを2回獲得し、見事期待に応える活躍をした。
 
 そして今シーズンはアレックス・ラミレス監督からエースに指名され、11勝5敗、防御率2.86という先発としてキャリアハイとなる好成績を挙げる。ベイスターズにとって11年ぶりとなるAクラス入りの原動力にはなったのは間違いないが、開幕戦、オールスター明け、ポストシーズンといった大事な時期にケガにより戦線を離れており、その点においては本人としては忸怩たる思いがあるだろう。
 
 特筆すべきは勝利や防御率よりもリーグ最多の5完投、3完封である。19試合で138.2イニング。完投能力の高さは現代野球においてリリーフ陣の疲弊を減らすことに直結し、シーズンを通して見た場合、大きなアドバンテージとなる。

 事実、ラミレス監督は山口のそういったタフネスさを高く買っていた。確かに2015年のシーズンは3勝6敗と毎年のように安定した力を発揮しているわけではないが、山口の退団はリーグ優勝を狙うDeNAにとって単純に痛手であることは間違ない。

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