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大田泰示「環境を変えれば、必ず目を覚ます」――ラグビー界の名将もほれ込んだ男、新天地で覚醒なるか

日本ハムに移籍した大田泰示。未完の長距離砲は新天地で才能開花なるか。

2016/11/06

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名将もほれ込んだ身体能力

 よくよく考えて見れば、入団当初から東海大相模で打ち立てた高校通算65本塁打の記録が一人歩きし、かつて松井秀喜氏が背負って〝半永久欠番〟のような形になっていた背番号55をいきなり球団側から用意されて背負うことになったのは、大田本人にとって必要以上に大きなプレッシャーになっていたかもしれない。

 当時監督だった原辰徳氏の母校出身者で、しかもゴジラの後継者候補と来れば、スター誕生を願う巨人にとっても確かにこれ以上のお膳立てはない。だが結果として大田は球団の期待には応えられず、背番号55はプロ5年で返上するハメになった。

 それでも大田の潜在能力を評価する声は方々で高かった。
 かつてラグビー日本代表のヘッドコーチを務めたエディー・ジョーンズ氏が巨人の練習を視察した際、大田の身体能力の高さにほれ込んで親交の深かった当時巨人監督の原氏に対し「ぜひラグビー界に彼をスカウトしたい」と異例のオファーをかけたのは有名な話だ。原氏が断ったことで大田のラガーマン転向は実現しなかったが、一流を知る指導者の目には「この〝未完の大器〟は環境を変えて手を加えれば、きっとラグビー界で大化けする」と映っていたのである。

 そして、あれから数年。プロ野球選手のまま、大田は環境を変える千載一遇のチャンスが巡ってきた。
 新天地の日本ハムで指揮を執っている栗山英樹監督は選手育成術でも定評が高いのは言わずもがな。チームメートにも同じ広島出身で1つ上の先輩・中田翔もいる。今季チームを日本一に導いた名将の下、そして同郷のチーム主砲の存在も大きな刺激となって巨人では作動することのなかったスイッチがONに切り替わる予感は大いに漂う。あのエディー・ジョーンズ氏をうならせた身体能力を発揮しながら大田が思う存分、暴れまわる舞台はこの日本ハムに整っている。

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