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辻内崇伸、ドラフト1位の肖像――「ドラ1の宿命、自分の扱いは『異常だ』」【連載第4回】

かつて「ドラフト1位」でプロに入団した選手1人の野球人生をクローズアップする。華やかな世界として脚光を浴びる一方で、現役生活では「ドラフト1位」という肩書に苦悩し、厳しさも味わった。その選手にとって、果たしてプロ野球という世界はどのようなものだったのだろうか。

2016/10/31

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田崎健太

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辻内

電車通学すら大変な状況

 夏の大会が終わると、高校3年生は野球部から「引退」する。

 大阪桐蔭高校の辻内崇伸もそれまで住んでいた野球部の寮を出て、自宅から学校まで通うことになった。入学以来、寮生活で野球漬けになっていた野球部員にとって、同年代の女子と同じ列車で通うという生活は憧れだった。

 しかし――。

 辻内は近鉄奈良線の車両に乗っていると、新聞を読んでいた男が、辻内の顔をじろじろ見てきた。

「お前、辻内やろ。ここにサイン書いてくれや」

 サインなどないと戸惑いながら、楷書で「大阪桐蔭 辻内」と書いた。

 あのときは困りましたと辻内は苦笑いを浮かべた。

「関西のおっちゃんたちはすごいです。電車の端から端まで聞こえるんちゃうかなという大声で、〝辻内君、頑張ってやー〟とか言うんです。もう少し小さな声で言うてくれたらええのに。それからぼくが、あの時間に電車に乗っていることが伝わって、大変でした。ダルビッシュさんとか、あんなモテてええなと思っていたけど、自分の身になったら、大変だった。甲子園の力は凄いなと思いました」

 読売ジャイアンツにドラフト1位指名されてから、その熱狂はさらに増した。

「知らん人が家に来たり、待ち伏せされたりとか。普通のことが普通に出来ない。それはホンマに嫌でしたね。それはそれで楽しい人生やなと思うようにしましたけど」

【次ページ】ドラフト1位の宿命

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