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今季引退・カープ黒田博樹がプロで生き残れた強さ――環境に適応、日米球界を代表する選手へ

広島東洋カープの黒田博樹が18日、今シーズン限りでの引退を表明した。22日からの日本シリーズを最後についにユニフォームを脱ぐ。

2016/10/18

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カープ投手陣の柱

 2015年、黒田博樹は8年ぶりに広島に復帰すると、フォーシームやカットボールなども再び投げるようになった。パワーで劣るNPBの打者に対し、MLB時代よりも思い切った攻め方ができるようにもなった。
 さらに言えば、黒田は日米の数多くの打者と対戦するうちに、国やリーグを超えた「打者を抑える極意」とも言うべきものを身につけたのではないか。
 黒田の防御率、与四球率、奪三振率などの数字は、NPB時代よりMLB時代のほうが優れている。NPBの数字には、投球スタイルを確立するまでの時期のものが含まれているとはいえ、これは見事な数字だ。

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 MLBのリーグ平均防御率は4.00~4.40程度だから、黒田は一線級の投手だと言えよう。
 環境に適応するためにひたむきに努力し、自分を変えることができる賢さが黒田博樹にとって最大の強みだろう。

 2016年の黒田は開幕からローテーションを維持。7月は負けが込んだが、規定投球回数を維持し、10勝8敗、防御率3.09と41歳にしては驚異的な成績を上げた。シーズン中には野茂英雄に次ぐ日米通算200勝も記録した。
 エースの前田健太がMLBに転じる中で、不安視された広島先発陣だったが、外国人投手ジョンソンの活躍に加え、野村祐輔が最多勝、最優秀賞率、新人岡田明丈の台頭など、若い息吹が芽生えていた。そんな中、先発陣の柱として、プレーでも精神面でもセリーグ制覇に大きく貢献したのが黒田だった。

 10月18日、黒田は日本シリーズを最後として引退することを表明。
 NPBに復帰した時から「引き際」を考えていた黒田にとって、若手が台頭した「今」がベストのタイミングだったのだろう。
 持てる力を日本シリーズに注ぎ込む黒田博樹。大谷翔平との対戦があるとすれば、まさに「世代交代」を象徴する名勝負になるはずだ。

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