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安易なコンバートは、打てない捕手を増やすだけ!【元ロッテ・里崎智也が語るプロ野球選手論②】

全国のマリーンズファンに不定期でお届けしてきたこのコラムに、今年1年を締めくくるにふさわしい、あの大天使がいよいよ降臨。来季もきっと千葉ロッテマリーンズという球団のために一肌脱いでくれるであろう、我らが里崎智也の、よそでは読めない本音トークに刮目せよ!!

2014/12/29

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WBC: Japan v Korea

バカ正直に信じる心が結果に差をつける!

──頭を使えば打てる。一見、単純に思えるそれができないのはなぜでしょう?

里崎 結局は、自分のことを信じ切れないんでしょうね。僕の場合は、そこにちゃんとした理屈があるから、たとえ狙ってた球の逆を突かれて三振しても何とも思わないですけど、それができない人の多くは「ホンマに来るんか?」って躊躇してしまうんやと思います。だから、僕がこういうことを言ってるときに「でも、誰それだったら、こういう球もあり得るやん」みたいなことを言うて来るやつは、まず打てない。確率の問題なんやから、それを信じて5割を当てに行くのか、自分で勝手に疑心暗鬼になって、2割、3割に成功率を下げにいくのかの、どっちを取るかでしかないですからね。

──見逃し三振でも、あんなに堂々としていたのはそのためだったんですね。

里崎 だって、クソボールのワンバン振って三振するのも、ド真ん中来られて見逃すのも、同じアウト1個でしょ? それに、もし僕にストレートを待ってる状態からの変化球にもうまく対応できる能力があれば、最初からヤマを張ったりはしてないですよ。その能力がなかったからこそ、狙い球を絞ってたんであってね。結局、結果を出そうと思ったら、レベルを下げてでも、自分がいちばん能力を発揮できるところに合わせていかんと、みんなと同じようにやっててもしょうがない。誰に何と言われようが、それが結果につながるのなら、バカ正直にでも信じてやるしかないんです。その代わり、当たったらデカいの打つよ! って言いながらね(笑)。

──ちなみに、現役最終打席も、その「デカいの」を狙ってました?

里崎 それはありましたね。ただ、半年も実戦から遠ざかってたら、あんな一発勝負で変化球はやっぱり打てないんでね。まっすぐが来てくれたら結果はまた違ってたかもしれないですけど、あの三振っていう終わり方も、案外、僕らしくてよかったんじゃないかと思ってます。

捕手のリードに明確な評価は存在しない!

──狙い球を絞るというスキルは、投手をリードする捕手としての経験も大いに役立っていると思うのですが、先輩として、現在のマリーンズ捕手陣のリードをどうご覧になっていますか?

里崎 これは他チームのキャッチャーにも言えることですけど、もうちょっとベンチのほうを見てる時間が少なくなったら、もっとよくなるんちゃうかな、とは思いますね。サインが出てるからしょうがない部分はあるんでしょうけど、年がら年中ベンチ見てて、大成したやつはあんまり見たことないですから。僕なんて、マリンのホームベースからベンチまでの距離が遠いのをいいことに、ボビー(・バレンタイン)のときでも、「えっ、全然聞こえませんでした」とか言うてましたしね。まぁ、この裏ワザも、ファウルグラウンドが狭くて声が届きやすい東京ドームとか神宮とかでは、あんまり使えないんですけど(笑)。

──時として、図太さも必要なわけですね。では、リードのよし悪しについてはどうでしょう?

里崎 リードの評価なんて誰にもできないっていうのが、僕の考え。「名捕手あるところに覇権あり」っていう野村克也さんの言葉は有名ですけど、それは逆に言うたら、優勝したこともないようなチームのキャッチャーはどんなに優れてても、「優秀だった」とは言われないってことでもある。「肩は強かった」とか「キャッチングはよかった」とか、部分的に褒められることはあってもね。

──すべては結果論でしかないと。

里崎 そうですね。たとえばの話、リーグ最下位で防御率も12球団ワーストのチームのキャッチャーを、「リードがいい」って褒める人、見たことあります? どうしたって対外的な評価でモノを言うのは、強いチームで、いいピッチャーと組めるかどうか。もし、田村が各チームのエース級と組んで、そこそこの結果を残したら、「あいつはリードうまくなったねー」ってすぐ言われますよ(笑)。それぐらい定義の曖昧なものなんです。

──なるほど。確かにそれは言い得て妙ですね。

里崎 だからこそ、最初に話したように、キャッチャーも打てなきゃいけないと僕は思う。抽象的な表現でしか評価のできないリードと違って、打撃の評価は一目瞭然。打てばいいわけですからね。

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里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日生まれ。徳島県鳴門市。鳴門工、帝京大学を経て98年のドラフト会議で、千葉ロッテマリーンズから2位指名され、入団する。2003年に78試合ながら打率3割をマークし、レギュラー定着の足掛かりをつくる。2005年は橋本将との併用ながらも、日本一に貢献。特にプレーオフのソフトバンク戦で馬原投手(現オリックス)から日本シリーズ進出を決める値千金の決勝タイムリーや、2010年のクライマックスシリーズファーストステージの西武戦では故障明けのぶっつけ本番で初戦は9回の同点タイムリー、2戦目は9回に長田から起死回生の同点弾と、大舞台で無類の勝負強さを発揮した。2006年にはWBC日本代表として世界一に輝く。2000年代、千葉ロッテを支えた扇の要であり、〝歌って、踊って、打ちまくる〟エンターテイナーはファンから愛された。

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