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【CS詳報】勝負所を理解している巨人の伝統の力。第3戦のポイントは継投策か

巨人が2-1でDeNAを下し、星をタイに戻した。勝負強い巨人の戦いは、今季の象徴だった。

2016/10/10

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前日からの試合の流れ。主導権はDeNAが握っていた

 
 巨人がすんでのところで粘り、2-1でDeNAを破り、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。

 前日にDeNAの逆転勝利で流れができていた1STステージ。第2戦を迎え、巨人側からすれば非常に戦いにくい状況であったに違いない。シーズン中からの連敗も続いていたし、対戦成績でも負け越していた。

 

 この日の試合もスタートから主導権はDeNAにあった。
 2回に先制点が入った場面は、まさに、それを象徴するシーンだった。

 
 2回表、DeNAは1死から6番の白崎浩之、7番・倉本寿彦の連打で1、3塁の絶好のチャンスを迎える。続く8番・戸柱恭孝は倒れるも、9番・今永昇太に対し、巨人の先発・田口麗斗は2ボールナッシングとボールが二つ先行する苦しいピッチング。このとき、捕手の小林誠司はタイムを掛けて先発の田口を落ち着かせに行っている。

 
 しかし、その刹那、田口が低めを意識しすぎてワンバウンドを投じると、若き左腕を支えるはずの捕手の小林がはじいてしまったのだ。DeNAに1点が入った。記録は暴投だが、捕手のミスといってよかった。このシーンこそ、前日からの試合の流れがDeNAに傾いていたことを象徴している。

 

 普通なら、これでDeNAが傘にかかって攻め、防戦一方になる展開もあり得た。
 しかし、そこで崩れないのが、巨人というチームなのである。

 今季終盤、メジャーなどで活躍し、巨人、DeNAに在籍した高橋尚成氏が今季の巨人を次のように語っていた。
 
「正直、今年のジャイアンツはこの戦力でよく勝つことができているなと思いますよ。監督が上手く選手を使っているというのもありますし、ターニングポイントとなる試合で、ことごとく勝っているんですよね。ここを負けたらやばいんじゃないという試合を落とさない。そういう勝負強さはありますよね。言葉にすれば、勝ち慣れているということになるんでしょうけど、勝負所を分かった戦いをしている」 

 

 その”勝負所が分かっている”ポイントとなったのが、3回裏、二死走者から飛び出した主将・坂本勇人のホームランだ。

 坂本は、カウント3ボール2ストライクからのカーブに体を残してボールを捉え、左翼スタンドに運んだ。今永ー戸柱の若いバッテリーは、その2つ前にもカーブを使っていたが、坂本はアジャストして同点弾を叩き込んだのだ。
 
 DeNAに勢いがある中で、それを引き留めた。まさに、「勝負所を分かっている」値千金の一発だった。

 
 これでゲームは膠着状態へと移る。
 巨人の先発・田口、DeNAの今永はほとんど投げミスがなく、1-1の展開を続けた。

 そして、勝負は8回から継投策に入り、雌雄は決する。
 巨人はマシソンを投入して、DeNAの怖い3人、梶谷隆幸、ロペス、筒香嘉智を3人で斬って流れを引き寄せた。

 

 坂本のホームラン同様、この外国人右腕も分かっていた。

 そして、8回裏、先頭の坂本は狙いすましたかのように、DeNAの2番手・三上朋也のスライダーを捉えて、右中間に二塁打でチャンスメーク。ベンチはすかさず、職人の寺内崇幸を投入。送りバントを指示して、成功させた。3番の村田修一は倒れ、4番・阿部慎之助は歩かされるも、5番・長野久義がセンター前にポトリと落ちるタイムリーヒット。心憎いくらいの打球が外野に弾んだシーンはこのチームの勝負強さを物語っていたように思う。

 

 9回も続投したマシソンは、1安打を浴びながらも、最後は二塁手に入った寺内の好プレーと阿部のアシストでゲームセット。あっさりと敗れ去ってしまってもおかしくないような展開の中、巨人は踏ん張ったのである。

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