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MLB側からは高評価も、カープにとって現時点でメリットなし? 前田健太ポスティング断念

2014年も前田健太のポスティング移籍は実現しなかった。能力に加え年齢や若さもありメジャーでは高評価を受けているが、新ポスティングシステムが移籍の足かせの一つとなった。

2014/12/23

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前田は実力に加えて〝若さ〟が魅力的だった

 こうしたMLBでの高い評価の背景には前田の実力に加え26歳という若さがある。

 ごく一部の有力選手を除きマイナーで2、3年の修行期間が設けられ、メジャー昇格後も6年間は球団に保有権があるMLBのシステムでは有力選手がFA市場に出るのは基本的に30歳前後になる。

 今年のFA市場の先発投手を例に出すとマックス・シャーザーの30歳を筆頭に、ジョン・レスターやブランドン・マッカシーが31歳、ジェームズ・シールズやジェイク・ピービは33歳と30代前半がほとんどを占めていることがわかる。

 対して前田はまだ26歳。この年齢で同程度の実力を持つ先発投手を獲得するにはトレードしかなく、それも代価に多くの有望株を出さなければならない。年齢の低さは長期契約を結ぶにあたってもプラスに作用する。26歳と30歳では不良債権化するリスクが大きく異なるからだ。

 田中やダルビッシュの活躍で日本人投手の評価が再び上昇しているのも前田には追い風だろう。

 こうした条件を見ると前田サイドからすると早めにポスティングするほうがいいように思われるが、ここには一つ穴がある。2013年度からポスティングフィーに上限が設定されたため球団サイドに早い時期にポスティング制度を利用するメリットがなくなってしまったのだ。大怪我などに見舞われない限り、前田ほどの投手のポスティングフィーが上限額以下になる可能性は低く、球団がポスティングを認めるにしてもFA権取得の前年になる可能性が高い。

 前田のFA権獲得は2017年とまだ長い。前田自身、カープ、MLBの三者にとってベストなのは、来年前田が圧倒的な成績を残してカープを日本一へ導き、優勝を置き土産にポスティングでメジャー挑戦へという田中将大のケースではないだろうか。

出典:”Japanese ace Kenta Maeda isn’t coming to MLB just yet” by Mike Oz in YAHOO! SPORTS in Dec.18 2014
“Stewart: All D-backs ‘have been asked about’” by Steve Gilbert in MLB.com in Nov.12 2014

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