大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



ホークスV逸も、ファームは7.5ゲーム差逆転でV5。水上二軍監督「二軍は一軍のプレッシャーの中で結果を出すための訓練の場」

一軍は惜しくも3連覇を逃したが、ファームでは5連覇を達成したホークス。10月1日、ファーム日本一を目指して、イースタンリーグ王者のジャイアンツと対戦する。

2016/09/30

text By



“なぜ”を考えてほしい

 塚田は今季、チームメイトの牧原大成が2014年に記録したシーズン120安打を更新する124安打を放ち、ウエスタンリーグ記録を更新。首位打者と最多安打、最高出塁率の3冠に輝いた。それでも、一軍の壁は高かった。ウエスタンV5を成し遂げても、喜びはない。「またここか」これが本音だったという。これだけ結果を残しても、今季の一軍昇格は2度、ベンチ入り3試合で出場機会は1度だけ。チーム事情やタイミングもあるが、二軍で結果を出し続けた塚田にとって、本当に悔しいシーズンだった。

「どうしたらいいのかわからん。もっと打ったらいいんですかね」

 様々な想いを押し殺した。それでも、「野球を楽しく」と前を向き、黙々と練習し続ける。

 シーズン終盤には釜元豪、真砂勇介のプロ初昇格もあったが、釜元は守備から途中出場した試合で1打席、真砂は2度の昇格も、出場機会なく抹消された。

 釜元は、「大事な時期に戦力として上げてもらったんじゃなく、消去法で自分が上がったと思っている。自分の力で上がっていたらすぐ抹消されないし、もっとチャンスもあったはず。点差があったから出してもらえるじゃなくて、自分が力をつけて戦力として出してもらえるようにならないと」

 ウエスタンリーグ盗塁王、7月度ファーム月間MVPなどの活躍にもふがいないシーズンだったと振り返った。

 真砂は二度の昇格も、共に出場機会なく2日で抹消。それでも、「自分のやることをしっかりやるだけっす!」とポーカーフェイス。ファームの試合で活躍しても、普段から「ういーっす!たまたまっす!」という真砂。藤本二軍打撃コーチは、「アイツはギータみたいなやつだからね」と笑う。「トップの位置も修正されたし、タイミングもしっかりとれるようになった。今なら一軍で出ても結果出るんじゃないかな」と藤本コーチに太鼓判を押されての終盤再昇格も、プロ初出場とはならなかった。

「本当の壁の高さを知って帰ってきたはず」

 水上二軍監督は、彼らの昇格時、非常に喜んでいたのだが、今回もまた別の喜びを感じていた。

「ここですぐ試合に出られなかった“なぜ”を考えてほしい。出してくれないじゃなくて、出られないワケを。それを考えられる良い期間だったんじゃないかな。チャンスはもらうもんじゃない、(自分で)とるもの!」

 指揮官は、これからが楽しみな若鷹の成長と、この時期に上から名前が挙げられたことを喜び、称えた。

1 2 3